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魔獣物語  作者: ひよく
第1章
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第1章16

 ダンは特殊な方法で、泥水を濾過しながら、オルソと話していた。

今日は飲み水になるような水場を確保できなかったのだ。雨水の溜まった大きな水たまりのようなものは見つけたが、この水はそのまま飲めるような代物ではなかった。しかし、これで飲料水は楽に確保できる。

これは魔法ではないが、このような技術は、膨大な知識を有する魔術師ならでは、とも言える。


 魔法とはイマジネーションであり、魔法とは科学の結集だ。

 火炎魔法であれば、酸素が発火するところを、爆発魔法であれば、水素が集結して爆発するところを、分子レベルで詳細にイメージする。

科学的知識がなくては、魔法は行使できない。魔術師とは、どんな科学者よりも科学に精通しているのである。

 回復魔法の場合は、傷付いた組織が再生する様子、細胞分裂の様子、炎症が引いていく様子、ホルモンバランスが整えられていく様子を詳細にイメージする。そのためには当然、人体についての解剖学的、生理学的知識を完璧なまでに必要とする。

しかも、体のどの箇所がどのように傷付いているかを正確に把握できなければ、魔法は成功しない。

 例えば、胸を強打した場合、肋骨骨折だけ気が付いて、実は外傷性気胸も起こしている事に気が付かなかった…などという場合は、当然、回復魔法をかけても、その者は助からない。

 ダンの場合、大きな負傷や病気に対して回復魔法を使う時には、回復魔法の前に透視魔法と拡大視魔法を併用し、体の内部、内臓や血管、骨の様子まで、正確に確認している。

 また、細胞分裂のイメージを違えれば、狂ったように分裂し続ける細胞を作ってしまう事がある。これは所謂ガン細胞だ。回復魔法は、ちょっと間違えると組織をガン化させてしまう事もあるのだ。

 そのため、回復魔法は魔法の中でも特に難易度が高く、他の魔法は使えても回復魔法だけは使えないという魔術師も多い。

 そんな中で、ダンが最も得意とする魔法は、回復魔法なのである。

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