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第1章15
それから、丸1日以上、何事もなく過ぎ去った。
今は野盗との戦闘の翌々日の朝である。
「しかしよう、いくら何でも高すぎねぇか?」
オルソは、この1日、幾度となく繰り返した台詞を、また口にした。
「妥当な線だ。この額に不満があるなら、1人で行け。」
ダンは素っ気なく答える。
話は‘追加料金’についてである。
カナとダンは、もともとオルソの魔獣への対抗手段として雇われた。
しかし、これに野盗等の対人間の戦闘の際の助力も追加された。これにより、当初の料金の2倍の額をオルソは支払う事になったのである。
かなり痛い金額だが、仕方ない。1人で魔獣の巣窟に挑むのは、無謀すぎる。それに、ダンが魔術師である事を考えると、実は安すぎると言える額だ。魔術師は、本来、生半可な金額では雇えないのだ。
それ以上に、オルソはカナとダンが気に入ってしまった。何となく、もう少し一緒に旅してみたい気分である。