第1章11
「野盗かな?コイツら。」
カナは男達の攻撃を軽くあしらいながら、ダンに話しかけた。
「まぁ、野盗以外の何者でもないだろうな。」
ダンにも余裕がある。野盗の攻撃を剣で受け流している。
「お前ら、何、呑気にくっちゃべってんだ!」
オルソは必死でバトルアックスを振るっている。
オルソは腕に覚えのある戦士だし、カナはさらにその上を行く凄腕の戦士だ。しかし、いくらなんでも、相手の数が多過ぎる。
「オルソ、さっきの話の続きなんだが…。」
「何なんだよ!」
「俺達は対魔獣用に雇われたのであって、人間相手の戦闘は、契約範囲外だ。だが、この野盗は俺達も獲物と見なしていたようだから、全体の3分の2の18人は、こちらで引き受けよう。けれど、もしそれ以上、手を貸して欲しいなら、追加料金をいただくぞ。」
「馬鹿野郎!今、そんな話してる場合じゃ!?」
話をしている間にも、オルソは何度も野盗の槍やら剣やらで、突き刺されそうになっている。オルソのバトルアックスの大振りの攻撃は、まだ敵に一撃も与えていない。
しかし、カナは危なげない戦いぶりで、すでに7人の男を屍に変えていた。
ダンは器用に敵の攻撃を受け流しているが、まだ斬り倒した相手はいない。
「ダンー。私の分、終わった。」
カナは、9人目の野盗を斬り倒すと、なんと剣を納めてしまった。
「バ、何やってんだよ!?カナ!」
「だって、ダンが10人以上、斬るなって言うからさ。」
カナは涼しい顔で、残る野盗たちの攻撃を躱している。
「オルソ。自力で9人倒せるか?」
「無理に決まってんだろ!大バカヤロー!」
「それじゃ、追加料金決定だな。」
ダンはそう言うと、少しだけ笑ったようである。
ダンは右手で剣を振るいながら、左手を軽く突き出した。