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第5章3
「あ、そうそう。そのカナさんなんですが、まだ起きて来られないんです。いくらお休みとは言え、もうお昼時ですし、どこか具合が悪いんじゃないかと思って。ちょっと様子を見に行っていただけませんか?」
そう言えば、今日は朝の日課の剣の稽古もしていなかった。
ダンはカナに与えられている王城内の客間に向かった。
カナは寝起きの悪い方ではない。
朝はいつもダンの方が先に起きて、カナを起こすのが常だが、起こしてやれば、すぐに起きるのだ。
だが、その日はダンがいくら起こしても「うるさい」とか「もう少し」とか言って、カナはベッドから出ようとしなかった。
だから、そのまま放置して、今に至る。