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第4章25
2人はパイオメトラの塔を後にした。
ただ、ナトリウムは重傷で、カナも小さい傷を幾つも負っていた。
泳いで村まで帰るのは、不可能だった。
ここで救援を待つしかない。
しかし、それは思ったよりも早くに訪れた。
しかも、それはよく知った人物だった。
村人の操る帆船で、パイオメトラの塔の小島までやって来たのは、ダンとコカリ姫だった。
傷付いた2人を見て、ダンはカナに、コカリ姫はナトリウムに、それぞれ回復魔法をかけた。
カナの傷は跡形もなく消え去ったが、重傷だったナトリウムの傷は、塞がるには塞がったものの、大きな傷跡を残してしまった。
「ダン、コカリ姫…私達を追いかけてきたのか?」
「あぁ、コカリ姫が思ったよりも早くに回復魔法をマスターしたんでな。お前達の様子を見に来たんだ。俺達も修行の一環だ。」
「ごめんなさい、おにいちゃん。傷…キレイに消えなかったね。」
「何言っているの!コカリちゃん。いつの間に回復魔法まで覚えちゃって!おにいちゃん驚いたよ!傷跡なんて、関係ないよ。コカリちゃんに治してもらった傷、大切にするからね。」