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魔獣物語  作者: ひよく
第4章
144/155

第4章24

「ナト!」

カナはナトリウムに駆け寄った。

「すまない…怪我をさせてしまって。」


ナトリウムは、体中傷だらけだった。

平気な顔をしてはいるが、特に右腕の傷は明らかに重傷だった。

カナはハンカチを取り出し、ナトリウムの傷口を縛ろうとした。


しかし、その手はナトリウムに握られた。

「ナト?」

「カナさん…。」

ナトリウムはカナの手からハンカチを取り上げた。


「僕の方こそ、カナさんを守れなくて、すみませんでした。」

そう言って、ナトリウムはカナの顔を拭いてやった。


雷はいつの間にか止まっていたが、まだカナは泣いていたのだ。

いくら拭いても、カナの涙は止まらなかった。

それどころか、次第に子供のようなわんわん泣きになってしまった。

ナトリウムはカナが泣きやむまで、カナを抱きしめていた。


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