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第4章24
「ナト!」
カナはナトリウムに駆け寄った。
「すまない…怪我をさせてしまって。」
ナトリウムは、体中傷だらけだった。
平気な顔をしてはいるが、特に右腕の傷は明らかに重傷だった。
カナはハンカチを取り出し、ナトリウムの傷口を縛ろうとした。
しかし、その手はナトリウムに握られた。
「ナト?」
「カナさん…。」
ナトリウムはカナの手からハンカチを取り上げた。
「僕の方こそ、カナさんを守れなくて、すみませんでした。」
そう言って、ナトリウムはカナの顔を拭いてやった。
雷はいつの間にか止まっていたが、まだカナは泣いていたのだ。
いくら拭いても、カナの涙は止まらなかった。
それどころか、次第に子供のようなわんわん泣きになってしまった。
ナトリウムはカナが泣きやむまで、カナを抱きしめていた。