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第4章23
「やめろー!!」
ナトリウムはカナを守ろうと、魔人とカナの間に立った。
迫りくる魔人の攻撃を何とか受け流す。
「立ってください、カナさん!」
未熟な剣を振るいながら、ナトリウムは必死でカナに呼びかけた。
「‘戦え’とは言いませんから!」
魔人は容赦なくナトリウムに襲い掛かる。
カナは耳を塞いで蹲っている。
「‘剣をとれ’とは言いませんから!」
カナの方に魔人を行かせまいと、ナトリウムは必死で剣を振るう。
「立って!逃げてください!」
その瞬間、またしても大きな雷が、近辺に落ちた。
それにビクッと反応したカナは、震えながら立ち上がった。
右手には自身の剣が握られている。
「すまない、ナト。」
顔を上げたカナの頬には、幾筋もの涙の痕があった。
しかし、もう迷いはなかった。
「ここは私1人で充分だ!」
そう言ったカナは、走り出した。
振り上げた魔人の拳をするりと躱し、魔人の左側をすり抜け、後ろをとる。
慌てた魔人が振り返るのと同時に、カナの剣が一閃した。
その瞬間には、魔人の首と胴は先程のパセトシンのように切り離されていた。