141/155
第4章21
「ナト!気を付けろ!」
ナトリウムにそう呼びかけたカナだが、ナトリウムにとってみれば、どう気を付けて良いのかわからない。
続いて魔人が3体、ナトリウムに向かってきた。
「斬り捨てるんだ、ナト!こいつらは魔人だ!」
「そんな…カナさん!」
カナはカナで、魔人数体と対峙していた。
ナトリウムに助太刀したいが、余裕がない。
魔人が3体では、ナトリウムには荷が重い。
そうでなくても、まだ人を斬った事のないナトリウムには、人間を斬るのに抵抗がある。
しかし、選択肢はなかった。
「ごめんなさい!」
そう言って、ナトリウムは最も年が若いと思われる魔人の胴を薙いだ。
それくらいで魔人は死なないが、ナトリウムの中で何かが吹っ切れた。
その年若い魔人の心臓めがけて、力一杯、剣を突き立てた。
その魔人が絶命する程に。
その頃には、カナは自分に向かってきていた魔人達を一通り倒し終えていた。
ナトリウムを襲っていた残る魔人2体は、カナが倒した。