第4章6
「カナ、ナトリウムの修行の件…私からも礼を言うぞ。是が非でも、ナトリウムを一人前の騎士にしてくれ。そなたら兄妹には、感謝しておる。コカリ姫の魔法の修行も、順調のようだしの。」
王妃はカナだけでなく、ダンも相当気に入っているようである。
それは王も一緒だった。
王妃の隣で、ニコニコとしている。
「して、我らに頼みとは何じゃ?カナ。」
王妃は足を組み、王の淹れた紅茶を、音を立ててすすりながら、カナに話しかけている。
一国の主としては、行儀が悪い。勿論、こんな態度は人前では見せない。
「王妃様。ナトには実戦形式の修行が必要だと思う。」
「手取り足取り教えるよりも、まずは実戦か。」
「そうだ。ダンがコカリ姫の修行をしている1ケ月間、ダンの代わりに、ナトに私の相棒を任せたいんだ。2人で1ケ月、レプトスピラの魔獣出現地を廻ってみたい。」
「え!?僕がダン様の代わりですか?」
ナトリウムが驚いて、口を挟む。
自分は魔術師でもないし、騎士としても半人前以下だ。
カナの足を引っ張るのは明白だ。
「何、言っているんだ。ナト。‘実戦’っていうのは、そういう事だぞ。」
カナは真顔だった。
「ふむふむ。‘可愛い子には旅をさせろ’とも言いますからな」
王もニコニコとしたまま、頷いていた。
「面白い。よくぞ申した。ちょうど、今、魔獣の出現で問題になっている地域がある。退治屋を雇うつもりであったが、調度良い。そこへ2人で行ってみるが良かろう。」
王妃は2人にその場所を教えた。