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第4章3
しかし、それは予想をはるかに超える大きさだった。
薪は一瞬で燃えつくされ、巨大な火柱が上がった。
「びえぇぇ~ん!怖いよぉ!」
自分で出した火柱のあまりの大きさに、吃驚したコカリ姫が泣き出した。
「コ、コカリ姫、ストップ!後ろに下がれ!」
ダンは慌てて、水流の魔法を発動し、消火作業にあたった。
(とんでもない魔術師だ…。)
自分を超えるかもしれない魔法の才能。
ダンは自分が高揚してくるのがわかった。
この才能を育てたい。
ダンは完全に火を消すと、まだべそをかいているコカリ姫のもとに近付いてきた。
よく見ると、コカリ姫は自分で出した火炎魔法で、頬に軽い火傷を負っていた。
ダンはコカリ姫の頬に自分の左手を当てた。
小さな火傷は、その瞬間に綺麗に治癒していた。
「ダン様、私も回復魔法のほうがいい!攻撃魔法は怖いんだもん。」
「そうだな。回復魔法は魔法の中でもとりわけ難しいんだが、コカリ姫なら上手く習得できるかもしれないな。」