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第3章67
「コカリ姫、カナの体の中にある悪者を退治するとイメージするんだ。そうして、ゆっくり両手をかざして。完全でなくてもいい。少しでも時間が稼げれば、後は俺がやる。」
コカリ姫の両手に淡い光が宿り、それがカナの体の中に吸い込まれていった。コカリ姫の回復魔法は、確かにカナの体に作用していた。
その数時間後、魔法力の戻ったダンの回復魔法で、カナは完全回復していた。
ベッドの上にいるのは、今度はコカリ姫である。気疲れしてしまったコカリ姫は、すやすやと眠っていた。
「驚きだな。本当にコカリ姫が私に回復魔法をかけたのか?」
「僕も驚きました。コカリちゃんが賢者様だったなんて…。」
「魔法力のあるなしは、ある意味、生まれ持った体質だからな。それでも、ある程度、専門的な訓練を受けなければ、魔法は使えないものなんだが…。コカリ姫の才能は相当なものだ。」
思い切り自分の噂話をされているというのに、コカリ姫は無防備な寝顔を晒していた。