第3章66
「この魔法力は!?」
「ダン様!?どうしたのです!?」
驚いたナトリウムに構わず、ダンは部屋を飛び出した。すると、そこにコカリ姫が座り込んでいた。
「ダン様?」
「コカリ姫!あなたは…。」
ダンが感じた魔法力、それはコカリ姫から発せられていた。
「あのね。カナさんがひどい目にあってしまったと聞いたの。お部屋に入るとお邪魔になると思って、ここでカナさんが早く良くなるように、お祈りしていたの。」
コカリ姫は、大きな瞳を潤ませていた。
「コカリ姫、あなたは魔法を習った事があるのか?」
ダンはコカリ姫に問う。
「魔法?」
コカリ姫は小首を傾げる。
「ダン様?何を言っているんです?コカリちゃんに魔法なんて、使えませんよ?」
ナトリウムは不思議そうな顔をする。
「コカリ姫!ちょっと来てくれ!」
ダンはコカリ姫の手を掴んで、部屋の中に、カナの傍に連れてきた。ダンはカナの毛布を除ける。ナトリウムは、裸のカナから慌てて目を逸らした。
「コカリ姫、よく聞いてくれ。あなたには魔法が使えるはずだ。あなたの中には確かに魔法力が隠されている。カナに回復魔法をかけてくれ。」
ダンはコカリ姫の手を取り、その瞳を見つめながら、必死に説いた。
「ダン様…。私に回復魔法なんて、使えるの?」
「今、カナを救えるのは、あなたしかいない。」
そんなダンの言葉に、戸惑った顔をしていたコカリ姫は、決心したかのように頷いた。