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第3章64
部屋に着いた時には、カナは既に意識をなくしていた。
「ナト、少しあっちを向いていてくれ。」
そう言うと、ダンはカナをベッドに横たえて、破れたドレスや下着をすべて剥ぎ取った。奇妙な内出血は、全身に及んでいた。
「出血毒のようだな…。」
ダンが呟く。
「出血毒?」
視線を逸らしたまま、ナトリウムが訊き返した。
「血管系の細胞を破壊する事で、全身に出血を引き起こす毒物だ。最終的には、血圧降下、体内出血、腎機能障害などで命を落とす。」
「何とかならないのですか!?」
「魔法さえ使えれば、解毒は簡単なんだが…。俺の魔法力が戻るまで、カナ自身の体力で持ちこたえてもらうしかない。」
ダンはそう言って、カナの体に毛布をかけてやった。