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第3章62
「カナ!」
「カナさん!」
ダンとナトリウムがカナに駆け寄る。
カナの体が傾き、力を失った手から、剣が滑り落ちた。
「馬鹿野郎!なんで回復魔法をかけさせる前に殺した!」
カナの体が地面に叩き付けられる寸前で、ダンがカナを抱きとめた。
「だって、あんな奴の言う通りにするの、イヤじゃないか…。」
ダンの腕の中でそう答えるカナの声は、弱々しい。
「ダン様!奴は死んだのに、まだ魔法は封じられたままなのですか!?」
ナトリウムがダンに尋ねる。
「まだ駄目だ!まだ、自分の魔法力を感じない。この魔法封じは奴のオリジナルだと言っていた。俺も今まで聞いた事のない魔法だ。いつ解けるのかわからない。」
さすがに、ずっとこのままという事はないだろうが、5分後に解けるのか、明日解けるのか、1週間後に解けるのか、見当もつかなかった。