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第3章57
「カナ!」
ダンはカナを援護しようと、カナの傍に駆け寄ろうとした。だが、その前に魔術師の男が立ち塞がる。
ダンは舌打ちした。
「そこをどけ!」
ダンは叫んだ。
「ホッホッホ、そう言うな。賢者は賢者同士、仲良くやろうでは…オッと。」
相手の魔術師の台詞が終わるのを待たず、ダンは攻撃魔法を繰り出した。火炎魔法である。攻撃系の魔法の中では、ダンが最も多用する魔法だ。
しかし、相手の魔術師には全く効果を示さなかった。対抗魔法である。
「お主は、魔法力のレベルは随分高いようじゃが、自分とレベルの近い対魔術師との戦闘には慣れていないようじゃの。無闇な攻撃魔法は、効かぬというのに。」
残念ながら、敵の指摘通りだった。ダンには、どういう魔法で攻めて良いかわからない。
仕方なく、倒れている兵士の剣を拾い、接近戦に持ち込もうとした。
「喰らえ!」
すると、それに反応して、敵の戦士が2人程、ダンと魔術師の間に入ってきた。本来、接近戦に持ち込まれそうになった場合に備えて、魔術師は戦士を連れているのだ。