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第3章56
敵は戦士と思われる男が十数人、そして、賢者のロープを纏った男が1人だった。
既に5倍近い数の兵士達が戦っていたが、そのほとんどは地面に倒れ伏している。もともと武力を重要視しないレプトスピラの兵士である。技術的に未熟なのだ。しかも、魔術師の援護を受けて戦う戦士は、通常の何倍もの力を発揮する。
「さすがは王城、そちらにも賢者がおるようじゃの。」
賢者のロープを纏った男は、同じく賢者のロープを纏うダンの姿を見て、そう呟いた。異様に目の細い、腰の曲がった魔術師である。
カナは、敵の戦士達と戦っている。だが、今の状態では、武器を持った戦士を複数相手にするには、さすがに分が悪い。相手の戦士達も、かなりの手練れ揃いのようだから、尚更である。
ナトリウムや他の騎士たちもやって来たが、正直、彼らでは戦力にならない。