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第3章55
ダンが答えに窮していた時である。
突然、爆発音が響いた。
「何事じゃ!?」
王と王妃を庇うように、ダンは爆発音のした方を向いた。
兵士の1人が宴の間に飛び込んでくる。
「両陛下、今すぐ城の奥へご避難ください!敵襲です!」
「敵襲じゃと!?」
王妃は驚きの声をあげた。
レプトスピラに敵対している国はない。内乱の要素もない。平和な国なのだ。一体誰が、何の目的で襲ってきたというのだろう?
ダンは即座に走り出した。カナもハイヒールを脱ぎ捨てて、裸足でダンの後を追う。ナトリウムや他の騎士たちも、それに続く。
「カナ!お前はそこに居ろ!」
ダンは叫んだ。
カナは今、剣を持っていない。それでも、普段のカナなら素手でも充分に強いが、今はドレス姿だ。動きが制限されてしまう。
しかし、そんな忠告など聞き入れるカナではない。構わず、戦闘の場にやって来てしまった。