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第3章51
宴の間には、ダンが先に着いていた。
ダンの話を聞こうと、周りには幾人もの騎士や貴婦人達が集まっていた。
余所から来た魔術師は珍しいのだ。
レプトスピラにも、数名の魔術師がいて、‘賢者様’と呼ばれてはいるが、実のところそのレベルは低く、大した魔法は使えないのである。
ダンは彼らに失礼にあたらない程度に、適当な話をしていた。
ダンはカナを待っていた。
このような場に不慣れなカナを、上手くエスコートしてやらねばならない。
不慣れなのはダンも一緒なのだが、不慣れな場所で周りに順応するのは、ダンの方が得意だ。