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魔獣物語  作者: ひよく
序章
10/155

序章10

 魔人とは、魔獣化した人間の事である。

 生物は、特殊な瘴気に長期間さらされると、脳が変化してしまう事がある。

 そうなってしまった生物を魔獣と呼ぶ。

 魔獣化した生物は、もともとの性質に関わらず、激しい凶暴性を帯び、強い破壊衝動にかられて暴れまくる。また、通常の何倍もの力が出せる。それは、普段は脳がリミットをかけて出せないようにしている力…所謂‘火事場のくそ力’が無尽蔵に出せるようになるためらしい。

 そして、一度、魔獣化した生物は、決して元に戻る事は出来ない。


 この日、村は魔獣の大群に襲われたのである。

 村で飼われていた家畜や犬猫などの小動物、果てには小さな虫に至るまでが、突如として魔獣化したのだ。しかも、村の裏手にある森の生物達も、魔獣化して襲ってきた。その中には熊や狼などの猛獣も多数含まれていた。


 村の裏手の森は、もともと瘴気の濃い場所があり、たまに魔獣が発生する事もあったが、村までやって来た事は一度もなかった。

 森に魔獣が発生すると、森で猟をする狩人達にとっては死活問題となるため、その度にカナやダンの父が退治に出掛けた。そして、次第にそれにカナとダンも同行するようになった。最近では、カナとダンの2人だけで退治してくるように、父達に言われる事も多くなっていた。

 2人はお使い感覚で魔獣退治をしていたのである。


 だから、カナもダンも実戦経験がないわけではない。

 だが、魔人を、人間を相手にした事はなかった。


 どんな生き物でも魔獣化する可能性はあるが、人間の魔獣化は珍しい。が、ないわけではない。

 この魔人も、もとは普通の人間としての暮らしがあったはずである。もとは優しい性格だったかもしれない。家族もいるかもしれない。


 一度、魔人になってしまった以上、もう元に戻る事は出来ない。そして、

 今のこの状況では、殺らなければ殺られる。


 ならば、殺るしかないと、ダンなら割り切れるのだが、カナはそうはいかなかった。斬ろうと思っても、あと一歩のところで、剣は魔人の急所を外してしまった。


 しかし、この場合、カナのほうが正常な反応と言える。

 カナは破天荒な少女ではあるが、ちょっとヤンチャなだけで、本質的には普通の子供なのだ。

 割り切れてしまうダンのほうが、異常なのである。


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