任務達成へ向けて
「お、おい・・・」
「な、何?」
ここはグランベールの街道。さすがは首都だ。活気もあるし、人もいっぱいいる。
しかし、2人は気になっていた。
「人・・・いっぱいいるな」
「うん。いっぱいいるね」
「悪いことじゃねえけど、痛いよなあ・・・」
「人の視線が・・・だね」
道行く人が見てくる。パトロール的なことの任務で守護団の部隊はちょくちょく訪れるわけだが、マスタークラスが訪れることは珍しいのであろう。ワッペンを一目見るとみんな驚いた顔をしている。
「はっはっは!俺たちもお偉いさんだなあ」
「レックス・・・天狗じゃあないんだから鼻伸ばさないでよ」
「そうか・・・やっぱ威厳がないとだめだな!」
レックスは腕を組んで歩き始めた。
「逆効果だよ。顔怖いって」
2人は冗談を言い合いながら、城へ向かっていく。
グランベールの城玄関前。
すかさず警備していた兵士に捕まった。
「何の御用ですか?」
「僕たちは・・・」
とライルが言いかけるときに兵士はワッペンを見た。すると
「はっ!失礼致しました!話は国王陛下から聞いております。どうぞお通りください」
「ありがとうございます」
「そうか・・・セルツ総部長が事前に連絡しといてくれたんだな」
「みたいだね。じゃ、行こう」
「ギギイ・・・」
ライルは扉をあけた。
「「失礼いたします」」
2人は律儀に言う。
「どなたかな?」
国王陛下は尋ねる。
「私どもは総部長の命令により参りました。守護団の第3部隊所属、マスタークラスのライル・エレメストと申します」
「同じくマスタークラスのレックス・オルヴェと申します」
「ご苦労であった。わたしはレムステル王国の国王、バルディア・デオ・レムステルと申す」
・・・なんだか一瞬驚いた。セルツ総部長がアレだから、まさに国王という感じがした。
「話はセルツ殿より伺っている。これを受け取りにきたのだろう?」
国王陛下は高貴な箱を開け、宝石を見せた。
「はい。その通りにございます」
「祝生祭にはあなた方もご出席されるのであろうか?」
「ええ。そう聞いております」
「そうか。がんばりなされよ」
ライルは高貴な箱ごと宝石を受け取った。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
2人は扉を開けようとした。
「・・・ああ。それと」
「はい。なんでございますか?」
突然ひきとめられたので、ライルは失礼なことをしてしまったのかとあせった。
すると国王陛下はほほ笑みながら
「さきほどは魔物を退治してくれてありがとう。感謝している」
ライルはほっとした。
「いいえ。私どもの仕事ですので」
改めて一礼をし、その場を去った。
「紺色の髪の青年・・・」
国王陛下はうつむいて考え込んでいた・・・。
街の外に置いた飛行移動機に乗り込み、次の目的場所、フェンネスの首都であるオルドへ向かった。