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ここにいるよ

作者: 枝豆子
掲載日:2026/06/03

 僕は、お母さんの作ったハンバーグが大好きです。ちょっぴり焼きすぎて固くなったり、ケチャップを入れすぎて酸っぱくなったり、毎回味が違うけど、お母さんの作ったハンバーグは、世界一だと思います。



 だけど、一人で食べるごはんは、寂しいです。大好きなハンバーグだけど、テーブルには僕のごはんだけが、ポツンとおかれています。



 僕のお父さんは、お母さんの作ったごはんが大好きで、お仕事が終わればお日様が沈む前に家に帰ってきます。



 夕方、お父さんと僕はキャッチボールをよくしました。台所からカレーライスとかの匂いがしてくると僕と一緒にお腹をぐうぐう鳴らしていました。



 だけど、最近はお仕事が忙しいのか、夕方になってもお父さんは帰ってきません。



 朝ごはんも、昼ごはんも、晩ごはんも、最近は僕一人です。



 毎日笑顔だったお母さんが、毎日僕と一緒に遊んでくれたお父さんが、静かに静かに泣いています。



 どうすれば、お母さんはまた笑顔になってくれるだろう?



 どうすれば、お父さんは大きな声で笑ってくれるだろう?



 どうすれば、また一緒にごはんが食べられるのだろう?




 お父さん、お母さん、僕は、ここにいるよ?




 お父さんは、泣いているお母さんの肩を抱いて、優しく語りかけます。僕も、お父さんの側でお母さんに話しかけます。




 毎日、毎日、大好きなお父さんとお母さんに、僕は声をかけ続けます。



 いつまでも、僕たちは、一緒だよ。



 お母さんが、少しずつ笑ってくれるようになりました。お父さんも、お仕事が落ち着いたのか、家に帰ってくる時間が少し早くなりました。



 だけど、僕は今も一人でごはんを食べます。



 朝ごはんも昼ごはんも夜ごはんも一人で食べます。



 本当は、少し寂しいけど、僕は一人でも大丈夫です。



 だって、僕はお兄ちゃんになるんだから……




 


 そして、僕に妹が生まれました。ひまわりのお花がよく似合う、笑顔でよく笑う女の子です。



 僕は、妹にいっぱい話しかけます。お母さんのそばで、いっぱい話しかけます。



 毎日、涙を流していたお母さんが、笑顔を見せてくれます。妹が笑えば、お母さんも笑顔です。だから、僕は妹の笑顔を守るため、楽しいお兄ちゃんになります。




「にいに……にいに……」



 妹の言葉を聞いて、お母さんが突然ポロポロと涙を流し始めました。




「そっか、お兄ちゃん、いつもそばにいてくれたんだ」




 涙をポロポロと流しながらお母さんが、妹を抱きしめました。


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― 新着の感想 ―
思わず最後まで読んでからもう一度最初から読みました。 なんかすごい考えさせられます。
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