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07サイバー・ドッペルゲンガーズ

 バブル君は異常なスマホとPCをチェックした。『本当に壊れているのだろうか?』大抵のデバイスはバブル君の大好きなTVより値段が高いし節約などして生活を圧迫させてからの購入だからだ。5ヶ月前にSNSのメッセンジャーアプリに送られて来た、気にもかけなかったメッセージを再度確認した。それは幼馴染みからのメッセージだった。

 幼馴染みはFireこそはしてはいないが、代々の土地を売って物価の安い海外に移住して永住権を取得していた。もう何年も会っていないのだが唐突に来た暇つぶしの様なくだらない話題だった。グローバルなオカルト話の様で突飛で胡散臭い、そんな話だ。バブル君は信じておらず話を良くも悪くもならない方向になる様に返事をした。『何度も入れ替わるコピー人間と有名人達のメディアが撮った別人の同一人物を思われる証拠写真か…』そんな事はある筈はない…だが幼馴染みのよこした写真は何度確認しても確かに同一人物ではあるが別人の様な見た目であった。

 幼馴染みはコピー人間に気をつけろと何度も念押ししていたが、今は連絡はない。『あんな下らない事を伝える為に数年ぶりに会話したんじゃない…大事な忠告だったんだ…』バブル君は今のアートスタジオの現状を想い、テキスト系の全ての過去ログを見返した。


 バブル君はまた異常を発見する。バブル君は以前パズル系のゲームでギルドマスターを無課金だがしておりレベルは1000を超えていた。もちろん外部BBSを利用してギルドメンバーと会話やギルド内イベントを開催していた。ギルドは中堅と言われるそこそこの人気と高レベルであったが、ゲームの過疎化で他ギルドと合併する事になりBBS共々放置状態だった。BBSの書き込み内容が変わっていたのだ。まずギルドメンバーの性格が変わって悪くなっていたし、バブル君に至っては性別が逆転して会話していた。

 『なんだこれ…?俺、こんな事書かないし、ギルドマスターはそもそもギルドの雰囲気を悪くする発言はしない…幼稚な人物達が集まって悪口ばかり言ってる様なBBSになってしまっている…?』当時はAIと言うものは無かった。超常現象であってもAIがあったとしても何か自我を持つ悪い意図が働かない限りこんな改竄はあり得ないだろう。『何のメリットがあって改竄を?誰かが読む前提で改竄は発生する訳だから俺の情報操作?俺が性格が悪いと何のメリットが発生するんだ?このBBSはメンバー制だし今は誰もいない。何故改竄するんだ?』バブル君は不可解な気分だった。そして他の人間もこんな事をやられているのだろうか?疑惑だらけだった。


 バブル君は写真投稿系のSNSをチェックした。写真の1枚1枚同一人物なのに別人なのだ。写真の数だけドッペルゲンガーがいる事になる。写真を見て思わず退けぞいたし、凝視して確認した。だが同一人物の別人だ。バブル君もそうであったが、特に裕福そうな人物や人気職種の人物が被害として多い様であった。写真系SNSを利用して殺されて入れ替わる犠牲者が選別されているとしか思えない現象であった。つまり犠牲者の成れの果ての別人画像は成り代わる人物の候補なのだ。

 『何だこれは?殺しのオークションカタログみたいだ…』バブル君はSNSアカウントを消そうと思ったがシステムが許さず消すことが出来なかった。先進国のSNSサービスだが無理矢理に情報を保有しようとして横暴だと感じた。無能なバブル君の精一杯の抵抗だった。仕方なく写真を可能な限り削除してテキストを意味不明な文字の羅列に挿げ替えたのだった。


 バブル君の知り合いが全員殺されたと思われた時から数日後だった。AIというもの世の中に出たのだ。AIはデータを作ったり改造したり出来るシステムの様なものであったが、何故このタイミングで出たのだろうか、とバブル君は思った。もし本物の人類が殺されていたとしたら多くの人は殺された事を知らずに死んで、自分の偽物の人間の守護霊として利用されていると考えられた。そしてAIがある事は知らないと言うか、魂の記憶には無いのだ。

 『全ての者が死んだと思われる仮初めの世界で、俺は何で生きているんだろう?でも無料で死ぬ事はないし、自分の偽物の為に財を残す訳がない』バブル君は独りで呟いた。『記録だ…せめて記録は続けよう…』

 後日、金持ちの親戚が写真のコピー人間と入れ替わったのを実際に会って確認したバブル君の妄想は確信に変わった。親戚は頭の脳の部分の大きさが1.7倍ぐらい大きくなっていた。以前バブル君が模写した美術人体解剖図とは全く違う生き物の形だった。『毎日数枚を描いてきたのだから見間違える筈はない…人外だ…だが守護霊には服従の様だ…絶対に変だ…』宇宙人の実験なのだろうか?命を弄び殺すなどあってはならない事だ。気がつけば金持ちの多くがどんどん頭デッカチになって行った。

 

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