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10変質

 流石に奇病は4日目ともなる振動は完全におさまり身体は回復した。しかし寝起きを繰り返すうちにバブル君は自分の手足の形が変わっていて仰天する。手は大きくなり足は土踏まずが無くなってしまい足の踵の荒れは治っていた。バブル君は常に楽な靴を履いていて足の形状は横に広めであったが少し小さくなって足の小指の位置も遊び人の様な健康的で無い位置にあった。髪は質も人工のカツラの様な感じ変わって混乱した。髪のキューティクルの滑り具合が人工的でなのだった。

 変わらないものはバブル君の意識だけだった。バブル君は美しい人間ではなかったが自分では無いと言う事に本人は思ったより精神的にショックを受け混乱した。だが数日のうちに手足の形は元に戻ったかの様に見え、人工毛のような髪質だけは治るのに1年と時間を費やした。


 この身体の変質事件に関係があるのか会社の上司も一時期、中指が異常に長い時があってバブル君はどう言う事だと疑問に思った。どういう根拠かは分からないが使役霊は言った。『奴らはクローニング技術だと言っていたぞ』『肉に取り憑いていた悪霊は離れた様だな』

 バブル君は言葉はなかったが取り憑いていた悪霊はこの身体が変質したと思われた時には全く居なくなり、霊障による体調不良はこの時は無くなった。もしかして宇宙人がバブル君の身体をいわゆるサルベージと言う事をして盗んだのかもしれないが凡人であった為、価値について理解できなかった。


 そんな日々でバブル君は夜中に目が覚めて部屋にある鏡を見た。鏡にある姿はバブル君であったけどバブル君は違和感に気がついた。肌が白くなっていたのだ。目が悪いバブル君はそのまま鏡に近づいた。白い肌は水饅頭の様に半透明であり血管と肥大化した細胞の様な模様が見えた。手を見ると指は爪はそのまま有ったけれど1.4倍ほど長くなっておりバブル君の思考は停止しかけた。

 息はできる。視力は変わらない。思考は停止しかけたが機能は変わらない…つまり無能の凡人である。超能力も使えないし、超人にも宇宙人になってはいない。何も出来ないのが現実であった。ただ指が長いのが気になった。会社の人間もリーダークラスが指が長いと思われる時があったのだ。己が無くなる恐怖に耐えて何も出来ないバブル君は再び床に就いた。

 朝起きるといつもの自分が居た。あれは幻だったのだろうか?それとも夢だったのだろうか?一連の事件に共通する様に証拠が無かった為にバブル君はいつもと同じ生活に戻った。そう、全てが異常になり、異常は正常になってしまった頃に、平穏が戻ったかの様だった。バブル君は常に侵略者に殺害される恐怖に震えていて、今も変わることは無かった。

 たくさんの人が殺され入れ替わった証拠の様に入れ替わった人間も不適合者とみなされると殺されて入れ替わり、頻繁に似ている何かへと入れ替わり続けていた。機能さえ果たせば代替えはどうでも良いのだろう。何故かバブル君は生き残った。なぜ入れ替わった人間がいつまでもそのオリジナルであろうとするのかは分からなかった。

 肉親でさえ別人の様であった。似ているが全く同じ見た目では無いのだ。


 意地悪そうな霊は頻繁に言った。『せっかく繋がったのに死んでしまった。』『せっかく繋がったのに死んでしまった。』『せっかく繋がったのに死んでしまった。』『分かるよ、アイツは死んでしまったんだ。』『死んだ。』『死んだ。』『また死んだよ。』


 ある日、バブル君は代替えとなってしまった友人に食事に誘われた。友人は自分と同じ代替え人間だと思い『お互い大変だね…』と言う感じで接して来た。ああ…この人達は全ての人間が偽物だと分かって、偽物と話し、偽物を死ぬまで演じているのだとバブル君は悟った。またこの代替えはある意味では被害者なのだと思った。俺はいつまで経っても俺で、まだ偽物ではない。友人は薄給の花農家でした。入れ替わる意味さえ理解出来なかった。代替えは友人を幸せだと思って入れ替わったのか?


 職域接種のコロナワクチンをバブル君が打った時でした。バブル君の母は外国人で国では3万円もした。お金が無いとコロナワクチンは打てなかったのだ。また母の国では3万円は平均的な国民の月収そのものだった。日本は無料で国民として権利があったのでウキウキして行ったのだが、1回目と2回目は会場に100人はいたのに3回目は10人ぐらいしかいなかった。バブル君は思った。『この人達は生き残りだ…。オリジナルであり、生き残りだ。つまり純粋の人間は2021年秋の時点で人口の10%未満になる計算でありそうだ。』

 会場のスタッフはいかにも常人以上の知性を兼ね備えた超人に見えた。視線と表情が演技に感じられ、また純正の人間を観察しに来たとバブル君は思った。


  ここは何処なのか…バブル君は業者と選んだ筈の家のトイレの壁紙を見て思った。それは選んだ撥水性の壁紙ではなく全く違うメーカーの普通の壁紙だった。家具は同じなのに壁紙が違うのだ。トイレの壁紙が撥水加工ではなくなった事に心を乱したし、色々な意味で恐怖した。ガッカリして数日すると壁紙は選んだメーカーになったが、よく見ると壁にあった汚れの位置が違った。何故、こんな場所にいるのか。パラレルワールドに連れて来られたと感じた。


  世界は壊されてパズルのピースの様に繋がっているのか。偽物は明らかに日本人の精神を宿していなかった。偽物は国民性が違うので話せば日本語の上手い外国人だと分かるのだ。

  たまに偽物を支配するIQが高いと思われる超人は偽物のフリをして直接に監視に来るのですが、自分達より劣化した遺伝子を持つ者に対して哀れみを持っている様な動作だった。それが粗野に見えて賢さと精神性は違うものだと思わせた。

ひたすら呪っていた霊能力者の使役霊は言った。案外そんなに嫌われていないのかもしれない。『話の通じる霊が少なくなり日本人も減りました』『偽物ではないあなたが大好きです』『偽りの無いあなたが大好きです』『あなたが死んだら迎えに行きます』バブル君はどうなってしまうのだろうか。いつまで経ってもまだ偽物では無かった。偽物になった時は死んでいるのだろう。


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