第2章 第44話 「影の企み」
◆ 王都の裏路地
ラーメン祭の熱狂から数日後。
王都の華やかな表通りの裏で、ひそかに奇妙な看板が掲げられていた。
“女王のラーメン・公認”
「おい、これ本当に認定されたんか?」
「さあな。でも“女王ブランド”って書いてあるし、客は信じるやろ」
鍋から立ち上るスープの匂いは……なんだか薄い。
麺は伸び放題、具材は粗末。
だが、物珍しさから列ができてしまっていた。
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◆ 苦情の声
「これが女王のラーメン? 味が全然違うぞ!」
「まずい……いや、むしろ腹を壊しそうだ!」
「王都の評判が落ちるじゃないか!」
市民たちの不満はすぐに役所へ届き、
「偽ラーメン問題」として広がっていった。
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◆ 美月の耳に届く
王都学院の講堂で講義を終えた美月のもとに、
ギルド長が駆け込んできた。
「美月、大変や! “女王のラーメン”を騙る連中が出てきよった!」
「えっ!? 本当に?」
リリアーナが眉をひそめる。
「……これは由々しき事態ですわ。ブランドを守るためにも、対策が必要です」
クラリーチェは両手を握りしめて震えた。
「まぁ……! そんな不届き者、許せませんわ!」
ゼファル王子は腕を組んで渋く呟く。
「名を盗む者は、剣より厄介だ。放置すれば信頼を失う」
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◆ 対策チームの結成
美月は真剣な眼差しで仲間たちを見回した。
「……“女王のラーメン”は、みんなの夢と絆の証。
それを汚すようなことは、絶対に許せない」
ギルド長がにやりと笑う。
「せやったら“ブランド保護審査団”を立ち上げようや。
認定証の管理から、偽ブランドの摘発まで全部任せる組織や!」
リリアーナ:「書類制度を厳格にし、登録商標として守るべきですわ」
クラリーチェ:「わたくしも見回りに参加します! 看板チェック係ですわ!」
ゼファル王子:「……俺も影から監視しよう。剣の代わりに、この眼でな」
美月は深く頷いた。
「よし、みんなで“絆のブランド”を守ろう」
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◆ 夜の巡回
その夜。
ギルド長と港町漁師数人、クラリーチェにリリアーナまで加わり、
王都の裏通りを巡回する“影のラーメン隊”が結成された。
「おい、あれや! 看板に“女王”の字が雑に書かれとる!」
「味見……うぇっ、これは偽も偽やな!」
「即刻撤去ですわ!」
ラーメンを盾にした笑いありの追跡劇が始まり、
王都の裏路地は妙な賑わいを見せていた。
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◆ 美月の心の中
(……ブランドを守るのは大変。
でも、これもまた人々の信頼を守るために必要なことなんだ)
夜空を見上げる美月の瞳には、
次の課題を乗り越える決意が宿っていた。