第2章 第40話 「ブランド第1号認定!」
◆ 王都・審査会閉幕直前
夜も更け、審査会場の大広場にはまだ湯気が立ち込めていた。
十数組の挑戦者がそれぞれの一杯を披露し、審査員団は協議を重ねる。
美月は審査員席から立ち上がり、朗々と告げた。
「――第一回ラーメン審査会。
“女王のラーメン”ブランドの第1号に認定されるのは……!」
観衆が一斉に息をのむ。
________________________________________
◆ 発表の瞬間
「港町代表、“荒波魚介ラーメン”です!」
わあああああああっ!!
会場に大歓声が轟いた。
港町の漁師たちは顔を真っ赤にして飛び跳ね、丼を掲げて叫んだ。
「やったどおおお!」
「うちの港町の味が、国一番や!」
「今夜は大漁祭りやああ!」
________________________________________
◆ 認定証授与
クラリーチェが両手で抱えきれないほど大きな認定証を運び出し、
リリアーナが厳かに読み上げる。
「――港町“荒波魚介ラーメン”。
女王のラーメン第一号として、ここに認めます」
美月は笑顔で漁師代表に手渡した。
「これからも、この味を誇りにしてくださいね」
漁師たちは感極まって涙ぐみ、
「女王様、ありがとう!」と頭を下げる。
________________________________________
◆ 港町の大騒ぎ
翌日。
港町では認定を祝う大宴会が開かれていた。
「荒波魚介ラーメン食べ放題!」と書かれた屋台の前には観光客の長蛇の列。
「すまん、スープ切れや! 追加や!」
「麺をもっと回せー!」
「観光客が船で押し寄せてきとるぞ!」
ゼファル王子は笑いながら見回す。
「ふむ。ブランドの力とは恐ろしいな」
リリアーナは呆れ顔で帳簿をめくる。
「港町の経済は一気に二倍に……これは財政にも良い影響ですわね」
クラリーチェは丼を抱え、頬を紅潮させて叫んだ。
「美月様! これがブランドの力ですわ! おかわりを!」
________________________________________
◆ 美月の感慨
喧騒の中、美月は一人、海辺に立って潮風を受けていた。
(ラーメンが、人々を結び、町を豊かにする。
この道は、きっと世界をも変えていける……)
波音に混じって、遠くまで響く笑い声が聞こえた。
その声は、未来への鐘の音のように、美月の胸に鳴り響いていた。