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2章 第39話 「審査会ドタバタ!」

◆ 王都・特設会場

王都の中央広場に巨大な白いテントが張られ、

そこに掲げられた看板にはこう記されていた。

第一回・女王のラーメン審査会

国内各地から選ばれた料理人やサロン代表が鍋や麺打ち台を抱えて集まり、

会場は朝から湯気と香りでむせ返るようだった。

「おい、見ろよ! 北の山岳から“雪解けハーブ麺”や!」

「砂漠からは“灼熱カレーラーメン”やって!」

「港町勢は“荒波魚介塩”をぶつける気や!」

観客席もぎっしり埋まり、国中の期待を集めていた。

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◆ 審査員団の面々

中央の長机には審査員団が並ぶ。

美月が審査員長の席に座り、隣にはゼファル王子、リリアーナ、クラリーチェ、ギルド長、ロカン陶芸家まで。

ギルド長は腕を組みながらにやにや。

「ほな、どんな珍品が出てくるか楽しみやな」

リリアーナは冷静に帳面を用意し、

「味・地域性・健康面・笑顔度……この四項目で審査いたします」

クラリーチェは両手を胸に当てて輝くように。

「まあ! もう匂いだけで幸せですわ!」

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◆ 出展ラーメンその1:荒波魚介ラーメン

最初に登場したのは港町代表。

大鍋に豪快に魚介を放り込み、海潮醤油の香りが立ち上る。

「わしら漁師の魂や! 荒波を乗り越えた味、召し上がれ!」

美月は一口すすり、目を細める。

「……力強いけど、薬膳の香りで後味がやさしい。うん、これは港町そのものだね」

ゼファル王子も頷き、

「戦のあとに食べれば、兵も立ち直ろう」

観客は「おおーっ!」と拍手。

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◆ 出展ラーメンその2:灼熱カレーラーメン

次は砂漠の民。

鍋から立ち上る香辛料の香りに、審査員席は思わず咳き込む。

「さあ! 一口で熱砂の嵐を感じてくれ!」

美月が麺をすすった瞬間――。

「かっ……辛っ!」

クラリーチェは涙目で叫ぶ。

「舌が燃えますわ~~~っ!」

リリアーナは水を口に含みつつ、冷静に言った。

「……しかし、確かに砂漠の厳しさを映していますわね」

ギルド長は汗だくになりながらも笑った。

「観光客の挑戦料理にええんちゃうか!」

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◆ 出展ラーメンその3:湖畔花びら麺

湖畔の村からやってきた若者たちは、丼に花びらを散らした淡いスープを差し出した。

「蓮の花を模した見た目で、観光客に喜ばれるはずです!」

美月はそっと口にする。

「……見た目は可愛いし、味もあっさりして食べやすい」

リリアーナもうなずく。

「子どもや女性向け観光には最適でしょう」

クラリーチェは目を潤ませて。

「食べるのがもったいないくらい綺麗ですわ!」

観客からも「インスタ映えや!」と声が飛ぶ。

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◆ 出展ラーメンその4:珍妙ラーメン

しかし中には、奇抜すぎる挑戦も……。

「見よ! “スイーツラーメン”じゃ!」

――麺の上に砂糖菓子と果物がどっさり。

美月:「……デザートとラーメンを混ぜる勇気はすごいね」

ゼファル王子:「戦場では……いや、使い道はないな」

観客:「うわぁ……」「でも子どもは喜ぶかも?」

別の挑戦者は――。

「“超巨大ラーメン”だ!」

丼というより、樽に麺を詰めて持ち込む。

観客が大爆笑。

ギルド長:「これは宴会向きやな!」

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◆ 美月のまとめ

審査会は夜まで続き、数十種類のラーメンが次々と登場した。

美月は立ち上がり、広場を見渡す。

「今日、私は改めて感じました。

 ラーメンは、人を笑わせ、泣かせ、驚かせる。

 それぞれの土地の魂を映し出す……文化なんです!」

群衆:「おおおおおっ!」

「これからも、この審査会を通じて“女王のラーメン”を認定し、

 国内外に誇れる文化へと育てていきましょう!」

熱狂の拍手が夜空に響いた。



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