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第2章 第38話 「全国からの挑戦者たち」

◆ 王都役所、大混乱

「し、申請書が……! 机に積み上がって崩れます!」

「次の方はこちらへ! いや、列を崩さないで!」

王都役所は、連日押し寄せる料理人とサロン代表たちでごった返していた。

女王のラーメン十傑が発表されてから、全国各地で「うちも挑戦する!」と声が上がり、

申請が殺到していたのだ。

「……はい、こちらは“天空鶏白湯アレンジ申請”。

 ふむ、『雲海の卵を使った天空卵麺』……?」

「“砂漠スパイス改”って……“灼熱カレーラーメン”?」

「こちらは“湖畔魚介”の派生……“蓮華湖プリン風ラーメン”? ……えっ!?」

役人は額に汗を浮かべ、書類をめくるたびに呻き声を漏らした。

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◆ 各地の挑戦者

大広場には、自作ラーメンを鍋ごと担いで来る挑戦者まで現れる。

「わしら港町は“荒波魚介ラーメン”や! 漁師魂を込めた塩仕立てや!」

「砂漠の民をなめるな! 我らの“熱風スパイス麺”は食べるだけで砂嵐を感じるぞ!」

「湖畔の子どもたちと作った“蓮華湖花びら麺”や! 見た目が可愛いんや!」

集まる群衆は、出展者の掛け声だけでも盛り上がり、

広場はすでにお祭りさながらの熱気に包まれていた。

________________________________________

◆ 美月と仲間たち

役所の二階からその様子を見下ろす美月は、額に手を当てていた。

「……想像以上にすごいことになってるね」

リリアーナは冷静に書類の山を見つめる。

「このままでは処理が追いつきませんわ。きちんと審査機関を設ける必要があります」

クラリーチェは大興奮で窓に張り付いていた。

「まあっ! 見てください美月様! “火炎ドラゴンラーメン”だそうですわ!」

「名前からして辛そうだね……」

ゼファル王子は腕を組み、満足げに頷いた。

「ふむ。ここまで人々を動かすとは。これは国の活力になるな」

________________________________________

◆ ギルド長の提案

そこへギルド長が、帳簿を抱えて駆け込んできた。

「美月! もうこうなったら“ラーメン審査会”を作るしかないで!」

「審査会?」

「せや! 王都に審査場を設けて、各地のラーメンを持ち寄ってもらう。

 味だけやなく、地域性や人々を笑顔にする力も審査対象にするんや!」

美月は大きく息をつき、やがて笑みを浮かべた。

「……そうだね。ラーメンはただ食べ物じゃなくて、文化だから」

リリアーナが小さく頷いた。

「では、第一回“ラーメン審査会”を正式に発足いたしましょう」

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◆ 群衆の熱狂

その知らせは瞬く間に広がり――。

「王都で審査会やて!?」

「うちのラーメンが認定されたら“女王のラーメン”に!」

「観光客も一気に来るで!」

王都中が湯気と熱気に包まれ、

新たな祭りの開幕を予感させる夜となった。

________________________________________

◆ 美月の胸の内

(……ラーメンが、国を動かす力になってる。

 次は、この審査会で“本物の絆ラーメン”を見つけたい)

美月はそう決意し、次の準備へと歩き出した。


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