第2章 第37話 「女王のラーメン十傑レシピ発表!」
◆ 王都・大広場、再び
数日後。
王都大広場には、前回以上の人だかりができていた。
「いよいよやな……」「女王様のラーメン十傑ってどんな味やろ!」
期待に胸を膨らませる群衆を前に、美月は演台に立った。
「皆さん――今日は、私が考案した“女王のラーメン”十種類のレシピを発表します!」
ざわめきが熱狂に変わり、群衆が一斉に身を乗り出した。
________________________________________
◆ 十のレシピ
美月は後ろに並んだスタッフに合図し、大きな掛け軸を広げる。
そこには、絵付きで十種類の丼が描かれていた。
「一つめは――《薬膳塩ラーメン》。
体を整える基本の薬膳を使った、誰もが安心して食べられるラーメンです」
「二つめ――《豊穣味噌ラーメン》。
農村の収穫を祝うための、濃厚で力強い味噌の一杯」
「三つめ――《天空鶏白湯》。
澄んだ高原の空気をイメージした、やさしい鶏のスープ」
「四つめ――《海潮醤油ラーメン》。
海の恵みを凝縮した、魚介と醤油の深い旨味です」
「五つめ――《砂漠スパイスラーメン》。
身体を熱く奮い立たせる、香辛料たっぷりの刺激的な味」
「六つめ――《山岳ハーブラーメン》。
険しい山で生きる人々を癒やす、香り豊かなハーブ仕立て」
「七つめ――《湖畔魚介ラーメン》。
湖の魚と蓮の実を使った、涼やかでどこか甘い一杯」
「八つめ――《黄金貴族麺》。
贅沢な食材と金箔をあしらった、宴席用の豪華なラーメン」
「九つめ――《屋台炊き出しラーメン》。
誰もが気軽に分け合える、大鍋で作る庶民の味」
「そして最後――《子どもほっこり野菜麺》。
野菜の甘みを活かし、子どもでも安心して食べられるラーメンです!」
________________________________________
◆ 群衆の反応
「すげぇ! 十種類も!」
「港町には海潮醤油やな!」
「うちの村やったら山岳ハーブいけるで!」
「子ども向けまであるんや!」
歓声と笑い声があちこちから上がる。
クラリーチェは胸を押さえ、涙ぐんでいた。
「美月様……まるで、この国そのものを映した宝石箱ですわ!」
リリアーナは冷静に分析する。
「どれも地域性を前提にしている……観光を呼ぶには最適ですわね」
ゼファル王子は小さく笑った。
「……これなら、民が自ら“自分たちの一杯”を作りたくなるだろう」
________________________________________
◆ 美月の宣言
美月は両手を広げ、熱気に包まれた群衆を見渡した。
「この十のラーメンを基に、各地でアレンジしてください。
申請し、審査を通れば――“女王のラーメン”ブランドを名乗ることができます!」
「ブランドや!」「観光客来るぞ!」
「うちも挑戦するで!」
大広場は歓声で揺れ、王都はまるで祭りのような空気に包まれた。
________________________________________
◆ 美月の胸の内
(ラーメンで国を結ぶ。
ここから始まるんだ……世界を巻き込む、大きな絆が)
空を仰ぐ美月の瞳には、未来を照らす光が宿っていた。