第2章 第34話 「国中に広がる“拉麺サロン政策”!」
◆ 美月の新提案
王都の議場にて。
週休3.5日と仕事+1政策で余暇と夢が広がり、今やラーメンは国の文化となった。
その場に立った美月は、次の施策を高らかに告げた。
「――そこで、新しい政策。“拉麺サロン政策”を提案します!」
ざわつく議員たち。
「拉麺サロン……?」
「何だそれは、喫茶店か?」
美月は胸を張って説明を続ける。
「簡単に言えば、“みんなでラーメンを作れる公共施設”です。
場所や道具がなくても、誰もが自作ラーメンに挑戦できる。
そして、そこには美月薬膳拉麺のスタッフが常駐して、指導やアドバイスをします!」
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◆ 国民の反応
発表から数日、国中で期待が爆発した。
「うちじゃ狭くてラーメン作りできへんから、助かるわ!」
「専門家の指導付き!? そりゃ心強い!」
「わしは“貝殻ラーメン研究会”を作るで!」
「子どもたちに料理を教える場にもなるな!」
リリアーナは呆れながらも微笑む。
「……これでまた、国民全員がラーメン職人になりそうですわね」
クラリーチェは目を輝かせる。
「まあっ! サロンと名がつくだけで優雅に見えますわ!」
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◆ 模擬サロンの初日
港町に試験的に作られた「第1号拉麺サロン」。
木造の広間に大きな調理台、鍋や麺打ち台、香辛料棚が並ぶ。
扉を開けると、すでに人々でぎゅうぎゅうだった。
「先生! このスープ、どうやったらコクが出ますか?」
「麺の腰が弱いんですけど!」
「この薬草を入れたら元気になるんですか!?」
スタッフは大忙し。
「落ち着いて、順番に! ――はい、そこのスープは火が強すぎ!」
「麺は寝かせるんや! 慌てるな!」
美月は少し離れた場所で様子を見ながら、自然と笑みがこぼれた。
「……みんな、本当に楽しそう」
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◆ 経済効果と文化の芽
拉麺サロンは“学びの場”であると同時に、新しい経済も生んでいた。
•サロン利用料は安価に設定 → 維持費とスタッフの報酬に。
•材料は地域の市場から調達 → 農家や漁師の売上増。
•完成品をその場で食べる“サロン食堂” → 地域住民の交流の場に。
ゼファル王子は感慨深げに呟いた。
「……これはただの料理施設ではない。文化を育てる“学舎”だな」
ロカン陶芸家も盃を掲げる。
「わしも“どんぶり工房+1”を併設してええか? 必ず売れる!」
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◆ 美月の想い
夜。
サロンの灯りが消えたあと、余熱の残る鍋を前に、美月はそっと呟いた。
「国中に、ラーメンを作る笑顔の場所が広がる。
それって、みんなの暮らしがもっと豊かになるってことだよね」
湯気の残り香がふわりと立ちのぼり、
その温もりが未来へ続いていくようだった。