第2章 第33話 「ラーメンブーム到来! それでも伸びる美月薬膳拉麺」
◆ ラーメンブーム、国内を席巻
仕事+1政策によって、国中でラーメン作りが趣味になる人が急増した。
農家は畑で採れた野菜を活かした“畑ラーメン”、
鉱山労働者は石窯で焼き上げる“炎のラーメン”、
貴族の屋敷では“豪華絢爛ラーメン晩餐会”まで開かれる始末。
新聞の一面には、毎日のように「新しいラーメン誕生!」の見出しが躍った。
クラリーチェは両手を頬に当てて目を輝かせる。
「美月様、これは“ラーメン文化ルネサンス”ですわ!」
リリアーナは少し心配そうに眉をひそめる。
「でも……こんなにラーメンが広まってしまえば、美月様のお店の売り上げは……」
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◆ 意外な数字
ところが――。
ギルド長が帳簿を持ってやってきてにやりと笑った。
「ふふん、売り上げは右肩上がりやで。しかも過去最高更新や!」
美月は目を丸くした。
「えっ、なんで!? みんな自分で作ってるのに?」
ギルド長は指を一本立てる。
「理由その一! スタッフ自身が“自作ラーメンサークル”を作って、腕が爆上がり!
店の味がさらに進化してるんや!」
「理由その二! 女王の味っていうブランド力。
自分で作るからこそ、“本物”を食べに来たくなるんや」
「理由その三! 客が『参考にしたい』言うて来る。
“この薬膳はどう効くんやろ?”って、勉強のための来店が増えてるんや!」
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◆ ラーメン店の様子
店のカウンターは今日も大行列。
「女王様のラーメンはやっぱり格が違う!」
「この薬膳の組み合わせ、どうやったら思いつくんですか?」
「自分のラーメンに取り入れてもいいですか!?」
スタッフの一人は胸を張る。
「うちは“ラーメン道場”やで! 食べて学んで持ち帰りや!」
ゼファル王子がうんうんとうなずく。
「まるで、国立ラーメン学院だな」
リリアーナは微笑む。
「美月様が蒔いた種が、国全体を育てているのですね」
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◆ 美月の実感
厨房でラーメンを仕上げながら、美月はふと手を止めた。
「……ラーメンがみんなの趣味になったら、私の役目は終わるかもしれないって思ったけど」
湯気の向こう、笑顔で麺をすする人々が見える。
「でも、むしろみんなを導く“師匠”になれてるんだね」
スープをひと口味見し、にこりと笑う。
「なら、私ももっと進化しなくちゃ。
ラーメン文化の未来は、ここから始まるんだから!」
湯気とともに、美月の決意が国中に広がっていくようだった。