第2章 第28話 「隣町に伝染!? 週休3.5日“輸出騒動”」
第2章 第29話
「新政策“仕事+1”! 趣味と夢を国が応援」◆ 隣町からの使者
港町での試験運用が始まって数日後。
美月たちのもとに、隣町リヴェッラから使者がやって来た。
「聞きましたぞ! 港町は週休3.5日なる制度を導入したとか!」
「……あの、まだ試験運用中なんですけど」美月は慌てて説明する。
だが使者は勢いに満ちていた。
「漁と市場が止まらぬ上に、昼宴会と合同祭りが毎週あると! ぜひわが町にも!」
リリアーナ:「……宴会の部分ばかり広まっているようですわね」
クラリーチェ:「まあ、確かに楽しいですもの」
________________________________________
◆ 港町代表による“誇張説明”
さらに悪いことに、港町から来た“お調子者コンビ”が口を挟んだ。
「そりゃあええ制度や! 働くの半分、宴会半分!」
「しかも毎週、魚とスープが無料で回ってくる!」
観衆:「おおおおお!」
美月:「ちょ、ちょっと待って! それ制度に書いてないから!」
ゼファル王子は腕を組んでにやりと笑う。
「……しかし“士気向上”という意味では悪くない」
美月:「王子まで何を言ってるんですか!」
________________________________________
◆ 隣町流アレンジ案
結局リヴェッラの役人たちは真剣に議論を始めた。
「農作業をA班とB班に分け、常に市場に野菜を並べられるようにしよう」
「午後休みは……“葡萄畑での昼宴会”に!」
「子どもたちは午前は学び、午後は遊びに専念! これで天才が育つ!」
美月:「いや、午後全部遊びって……」
ロカン:「まあ、陶器のジョッキがまた売れるからええやろ」
________________________________________
◆ “制度の輸出”はじまる
こうして、港町発の週休3.5日制度は、予想外の“宴会付きパッケージ”となって隣町に広がり始めた。
「週休3.5日、リヴェッラ版!」
「昼からワイン祭りだー!」
人々の声は高らかで、町はまるで祭りの準備に入ったようだった。
________________________________________
◆ 美月のひとり言
その夜。
港の見張り台で風にあたりながら、美月は小さくため息をついた。
「……なんか、週休3.5日制度じゃなくて“週宴3.5日制度”になってる気がする」
ゼファル王子は笑う。
「だが笑顔と活気を呼ぶのなら、それも制度の成功だろう」
美月は空を見上げた。
満天の星空の下、制度は思わぬ形で隣町に“輸出”されていく。