第2章 第27話 「試験運用スタート! 港町流“週休3.5日”ライフ」
◆ 初日の港町
朝の港町。
潮の香りとカモメの鳴き声の中、A班の漁師たちはいつも通り船を出す準備をしていた。
一方、B班の面々は……なぜか大広場に集まっている。
「おーし! 今日から試験運用や! まずは“昼宴会”のリハーサルやな!」
「おいおい、まだ午前中やぞ! 仕事せえ!」
「いやいや、美月女王が“午後は休み”言うてたやろ? ほな前倒ししてもええんちゃう?」
ゼファル王子が苦笑する。
「……前倒し、とは斬新だな」
美月:「いや、だからそういうことじゃ……!」
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◆ 半日休みの“逆転現象”
A班の漁師たちは午前だけ働いて昼で切り上げるはずだった。
だが――。
「よっしゃ、午後は休みや! 昼から大漁祭りや!」
「……おい、まだ魚も揚がっとらんぞ!」
「ええねん! B班が夜に漁するやろ? その魚で宴会や!」
リリアーナが額を押さえる。
「……働く人たちを応援する宴会……という発想なのですね」
クラリーチェは楽しそうに手を叩いた。
「それってまるで“港町リレー祭り”ですわ!」
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◆ 港町アレンジその1:屋台シフト制
制度の狙いは「市場が止まらない仕組み」だった。
だが気づけば――。
「A班漁師の魚屋台! 午前限定やで!」
「B班漁師の魚屋台! 夜明けから深夜まで営業!」
「ついでにA班とB班合同の“おつまみスープ”屋台もあるで!」
……いつの間にか“港町屋台シフト制”になっていた。
美月:「いや……市場が止まらないのはいいんですけど、方向性がちょっと……」
ロカン(陶芸家):「まあ、陶器の盃が飛ぶように売れてるからええやないか」
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◆ 港町アレンジその2:余暇の活用
さらに、半日の休みをどう過ごすか――港町民は独自に工夫していた。
「昼は漁、夜は舟歌大会!」
「午前は市場、午後は子どもと貝殻拾い!」
「……そして夜は合同宴会や!」
美月:「……最後は必ず宴会になるんですね」
ゼファル王子:「港町らしいではないか」
リリアーナ:「でも、確かに笑顔が増えましたわ」
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◆ 制度の初日、なぜか大盛況
試験運用初日。
制度の本来の説明からは少しズレたが、港町はかつてないほど活気にあふれていた。
「働く時間も遊ぶ時間も全力!」
「週休3.5日、ばんざーい!」
港に響く笑い声と歌声。
美月は、あきれながらも微笑んだ。
「……まあ、みんなが元気なら、それが一番ですね」
空には夕陽が差し込み、漁船の帆と笑顔を照らしていた。
港町流の週休3.5日ライフは、こうして幕を開けたのだった。