第2章 第26話 「港町広場で週休3.5日説明会! なぜか漫才大会に?」
◆ 広場に集まる港町民たち
港町の大広場。
海風が吹き抜け、屋台の焼き魚や甘い貝スープの匂いが漂う中、美月は臨時演台に立っていた。
横にはゼファル王子、リリアーナ、クラリーチェ、そして例の陶芸家ロカンまで控えている。
「今日は、週休3.5日制度についてお話しします!」
美月の第一声に、漁師たちがざわざわ。
「そりゃあ休みは嬉しいが、3.5日って……半日休みって何や?」
「昼から飲めるってことか?」
「いや、もう午前だけ漁して午後は宴会ってことだろ!」
すでに会場の想像が暴走している。
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◆ 模型と魚で説明
美月は、用意してきた港町模型を取り出す。
「この制度は、A班とB班に分けて働く日をずらすんです。
A班は月曜から木曜午前まで、B班は木曜午後から日曜まで。
こうすれば、港も市場も定休日なしで回せます!」
漁師の一人が手を挙げる。
「それって……木曜の昼、A班とB班が港でバッタリ出会うんだろ?
そんときゃ昼から合同宴会だな!」
ロカン:「おい、それじゃ結局毎週祭りになるぞ」
ゼファル王子:「……悪くないな」
美月:「いや、それが目的じゃないですから!」
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◆ まさかの漫才タイム
話を進めようとすると、舞台の端から港町の名物お調子者コンビが飛び出す。
「おーい美月女王! 週休3.5日ってのはつまり、働くのも休むのも全力ってことだろ?
じゃあ今日は“全力で笑う時間”にしようぜ!」
そのまま二人は即興で、
「魚と週休3.5日」をテーマにした謎の漫才を始める。
観客は大爆笑。
美月は額に手を当てながらも、笑いをこらえきれない。
「……まあ、笑顔が増えるのも制度の目的のひとつですし、いいか」
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◆ 説明会、なぜか成功
結局、制度の細かい説明は半分もできなかったが、港町民たちはみんな笑顔で帰っていった。
「来月から試験的にやってみようや!」
「昼宴会用の屋台、もう作っとくか!」
リリアーナはため息をつきつつ微笑む。
「……結果的には、成功なのかもしれませんわね」
クラリーチェ:「港町らしい、自由な運用になりそうですわ」
美月は空を見上げた。
海風と笑い声が混ざり合い、この制度が新しい日常を作る未来が、少しだけ見えた気がした。