第2章 第25話 「港町試作会! 味見が止まらない厨房バトル!」
◆ 職人も参戦!?厨房が人だかりに
港町の有名料理人や漁師、そして先ほど出会った陶芸家ロカンまで押しかけてきた美月の臨時厨房。
巨大なまな板の上には、朝仕入れた魚介と“月波草”、“潮風胡椒”が山盛り。
「では――試作、始めます!」
美月の一言で、一斉に火が入る。
しかしすぐ、鍋の数が足りないことに気づく。
「ちょ、ゼファル王子! その鍋は何用ですか!」
「俺の朝食用」
「今はフェス優先です!」
リリアーナが鍋を奪い、美月の隣でスープをかき混ぜる。
クラリーチェは盛り付け担当。
「海藻は細かく刻んで……って、あれ? 潮風胡椒がもう半分しかないですわ!」
ロカンが顔をそらす。
「……つい、味見を……」
「おやつじゃありません!」美月のツッコミ炸裂。
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◆ 試作第一号、完成!
魚介スープに潮風胡椒の香りがふわり。
器はロカン特製の波返し鉢。
美月が湯切りした麺を入れ、月波草をトッピング。
「では、みんなで試食!」
一口すすると――
ゼファル:「うまい! 口の中が海と陸の戦場だ!」
美月:「だから戦場って言うのやめて!」
リリアーナ:「この香り、たまりませんわ。夏の冷やし麺にぴったりです」
クラリーチェ:「見た目も美しいですわね……SNS映え間違いなし」
そこへ港町長が登場。
「この味、フェスだけじゃもったいない。港町の名物にできんか?」
美月はにっこり笑って答える。
「もちろん! ただし週休3.5日制、ちゃんと守ってくださいね」
厨房の全員「……そこもセットなんですか!?」
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◆ 港町に広がる“笑顔の連鎖”
試食会の噂はあっという間に市場中に広まり、漁師や商人まで「港町女王つけ麺」を食べに押し寄せる。
器は足りず、ロカンはその場でろくろを回すはめに。
ゼファルが笑いながら肩をすくめる。
「……これ、もうフェス前から外交成功してないか?」
美月:「いいんです、結果オーライです!」