第2章 第24話 「港町×女王ラーメン! 食材探しは宝探し!?」
◆ 港町市場にて
翌朝、港町最大の市場へ。
海沿いの通りいっぱいに並ぶ屋台には、魚介、香草、海藻、見たことのない貝……とにかく香りが渦を巻く。
「……すごい! 全部おいしそう!」
美月は完全に観光客モード。
ゼファルは肩をすくめる。
「仕事だぞ、美月」
「わかってますって! ……ほら、この貝なんてフェスのスープに絶対合う」
リリアーナが腕を組んで頷く。
「確かに。旨味と塩気のバランスが絶妙ですわ」
クラリーチェは隣で味見をしながら目を輝かせる。
「この海藻、冷やしつけ麺のトッピングにしたら映えますわね」
市場の店主が笑いながら近づく。
「女王さま方、お目が高い! この海藻は夜明け前にしか採れない“月波草”ですよ」
「名前までおしゃれ!」美月が即買い。
ゼファルは財布を取り出しながら苦笑。
「……フェスの前に予算が消えるな」
________________________________________
◆ 港町の伝説スパイス
さらに奥の香辛料屋台。
鼻に抜ける爽やかな香りに、美月の足が止まる。
「これ、何ですか?」
店主が自慢げに瓶を掲げる。
「“潮風胡椒”と呼ばれる港町秘伝の香辛料です。海風で乾かした胡椒に海藻の粉末を混ぜるんですよ」
リリアーナが眉を上げる。
「胡椒と海藻? 意外な組み合わせですわね」
美月はすでに頭の中でレシピを組み立てていた。
「……潮風胡椒つけ麺……絶対いける!」
ゼファルが腕を組み、真剣な顔でうなずく。
「武器としても強そうだな」
「いや、それ使って戦わないでください!」
________________________________________
◆ 職人との出会い
市場の端で、奇妙な形の陶器がずらりと並ぶ店を発見。
「これ、器……?」
「はい、“波返し鉢”と申しまして、スープが波立つように設計されてます」
店主は自称・港町一の陶芸家、ロカン。
クラリーチェが器を手に取る。
「これ、見た目も綺麗ですわね」
美月は即決。
「フェス限定の器、これにしませんか?」
ロカンは感激して握手。
「お任せください! 女王様のつけ麺にふさわしい器を作ります!」
ゼファルが小声でリリアーナに。
「……あれ、もう完全にイベント本気モードだよな」
「ええ。もはや外交というより新商品発表会ですわ」