第2章 第22話 「週休3.5日、国外進出! 休日外交とつけ麺フェス」
第2章 第23話
「港町はすでにお祭り騒ぎ!? つけ麺外交、加速する!」◆ 出発は朝からドタバタ
早朝。港の桟橋は、見送りに来た領民たちであふれかえっていた。
「陛下ー! チーズ忘れてますよー!」
「もう持ってる! しかも三種類!」
美月が手を振ると、ゼファルが半眼になる。
「……その荷物、半分は食べ物じゃないか?」
リリアーナはすかさず口を挟む。
「王子、これは外交の“食料戦略”です。食べ物は共通言語ですから」
クラリーチェもうなずきながらチーズの詰まったバスケットを抱える。
「はい、陛下が途中でお腹を空かせて機嫌を損ねないための必需品でもあります」
「ちょっと! そんなことないってば!」
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◆ 船上での作戦会議
出発して数時間。海風が心地よい甲板の上で、美月は広げた地図を見ながら作戦会議を開いた。
「今回訪れるのは、南洋の港町。観光業が盛んで、海産物が名物。でも……週休3.5日はまだ浸透してない」
ゼファルが腕を組む。
「つまり、休日制度を紹介しつつ、現地の食材で“外交つけ麺フェス”をやるわけだな」
「そう! つけダレを二種類作る予定。ひとつは海鮮薬膳スープ、もうひとつはスパイシー南国風」
リリアーナが眉をひそめる。
「でも陛下、フェスの規模はどのくらいを想定してますの?」
「……うーん、最初はこじんまり……のはずなんだけど」
クラリーチェがにっこり。
「過去三回、全て“こじんまり”から始まって、最終的には市全体を巻き込んでましたわよね」
「うっ……バレてる」
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◆ 予兆
その夜、船が港町に近づくにつれ、甲板から見える灯りがどんどん増えていった。
港にはすでに屋台らしきテントが並び、人のざわめきが海風に乗って聞こえてくる。
ゼファルが苦笑する。
「……美月、まさかもう現地に話が伝わってるんじゃないか?」
「えっ……いや、その……領地を出る前に、ちょっとだけ手紙を送っただけで……」
リリアーナが深くため息をつく。
「“ちょっとだけ”の基準が、陛下と我々でまるで違いますわ」
クラリーチェは楽しそうに双眼鏡を覗いた。
「ふふ、見てください! “つけ