第2章 第20話 「経済の歯車、休日で回る! 女王のにやり顔」
◆ 成果報告会
王城の大会議室。
大きな円卓を囲み、各省庁の大臣たちが立ち上がって報告を始めた。
「……以上のとおり、週休3.5日制度の導入により、消費額は前年比で17%増加しました!」
「生産性も平均12%向上、失業率は過去最低に!」
リリアーナが小声でクラリーチェに耳打ちする。
「ねえ、これって……経済学の教科書に載っちゃうレベルじゃない?」
「美月様、もう“休日で国を救った女王”として歴史に残りますわね」
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◆ 補助金の行方
財務大臣が満面の笑みで報告を続ける。
「さらに、税収増加のおかげで、命に関わる職業――医師、ヒーラー、魔物討伐軍の人員倍増計画に必要な補助金は、税金のみで賄える見通しです!」
「……ということは、美月薬膳拉麺グループの利益を投入しなくていいってこと?」
美月が思わず前のめりになる。
「はい、その分は女王陛下の新規施策や文化事業に回せます!」
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◆ 女王のにやり顔
「ふふ……じゃあ、新しい温泉療養施設と子ども薬膳食堂、早めに進められるわね」
美月が手元の企画書をパタンと閉じると、ゼファル王子が肩をすくめる。
「また休暇中も働く気か?」
「休暇中に“楽しい仕事”をするのは趣味の範囲よ!」
リリアーナが笑いを堪えきれずに吹き出す。
「ほら、結局週休3.5日でも美月様だけ週休0日ですわ」
「ええ、でも……これが私の生きがいだから」
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◆ 新たな広がり
そこへ通信官が慌てて駆け込んできた。
「女王陛下! 先日の視察団の国から正式な書状が届きました! 『週休3.5日制度を自国でも採用したい』とのことです!」
場の空気が一気に沸き立つ。
ゼファル王子がニヤリと笑う。
「これで……連合王国の理想がまた一歩、世界に広がるな」
美月は小さくうなずき、深く息を吸い込んだ。
「よし……次は、その国の休日の楽しみ方まで、提案しに行きましょうか」
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