第2章 第19話 「国境を越えて!他国も真似したくなる休日制度
◆ 休日制度の噂、国外へ
週休3.5日制度の成功は、連合王国の外にも瞬く間に広がった。
「休日に人が集まり、経済も上向くらしい」
「国民の笑顔が増えて、健康状態まで改善している」
そんな噂を聞きつけ、隣国の商業連合や観光立国の代表が、視察団を組んでやってきた。
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◆ 王城に押しかける視察団
大公会堂に入った途端、視察団の一人が手を挙げた。
「女王陛下、質問です! 週休3.5日にすると、生産量が落ちるのでは?」
「むしろ逆ですわ!」と、横からリリアーナがにこやかに答える。
「休みが増えると、働く時間に集中力が増して効率が上がりますの」
「では、税収は減らないのですか?」
「減るどころか増えました!」とクラリーチェが得意げに笑う。
「休日に観光や買い物をする人が増え、経済が活発化したのですわ」
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◆ 視察団、メモが追いつかない
「ほほう……では、休日の混雑は?」
「二つの休日グループ制にして、混雑を分散させました」
「休日の過ごし方はどう指導している?」
「“推奨休日マニュアル”を配布しております!」
バサッと机に置かれたのは、美月が作ったイラスト付きの休日マニュアル。
視察団がページをめくるたびに、
「おお……薬膳料理の作り方まで載っている!」
「余暇に読み聞かせイベント? これは面白い!」
と、メモを取る手が止まらない。
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◆ 予想外の提案
討議の終わりに、視察団の団長が深く頭を下げた。
「陛下、この制度……我が国でも導入したい!」
場がざわつく中、ゼファル王子が腕を組んで微笑む。
「ほらな、美月。こうやって少しずつ世界は変わっていく」
「……でも、まだ始まったばかりですよ」
美月はそう言いながらも、胸の奥が温かくなるのを感じていた。