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第2章 第9話 「週休3.5日モデルタウン、始動! 全力で休む町民たち!?」

舞台は連合王国の北部、温泉と小川に囲まれた自然豊かな町――その名も《カムイの里》。

「この町に決めて、よかったですね、美月様」

「うん……自然も豊かで、商店街も活気があるし。何より、みんな“変わってみたい”って言ってくれてるのが、嬉しいよ」

美月は、広場で町民たちと談笑しながら、やさしく微笑んだ。

連合王国の改革第一歩となる「週休3.5日モデルタウン」に選ばれたのは、平均年齢32歳、人口2000人のカムイの里。比較的若い世代が多く、新しいことに柔軟な町でもあった。

「それでは今日から、この町では週休3.5日制度を試験導入します!皆さん、お休みを大切に!“真面目に、休む”のです!」

\おー!!/

美月の声に、町民たちはこぶしを掲げて歓声をあげた。

________________________________________

◆ 全力で、休む!?

モデルタウン導入から3日目。

町役場では、町長と役場の職員たちが集まっていた。

「美月様、事件です!」

「え、なになに!?」

「みんな……休みすぎてます!!」

「それって……いいことじゃないの?」

「いいんですけど、みんな“全力”で休みすぎて……!」

「ど、どういうことですか……?」

そこへ副町長が、笑い泣きの顔で飛び込んできた。

「町の広場で《お昼寝選手権》が開催されてます!優勝者には『一番よく休んだで賞』のトロフィーが!」

「ええええっ!」

「さらに、温泉旅館組合主催の《湯けむりうたた寝マラソン》とか、《ごろ寝演劇祭》まで……!」

「発想が天才すぎる!」

「でも、ちゃんと月曜の午前だけ働いてるんですよ。そこだけは、みんな真面目に……」

「週に一度だけ働く街って、だんだん伝説になりそう……」

________________________________________

◆ 一方そのころ、クラリーチェとリリアーナは…

「ふむ。カムイの里、成功の気配ですわね」

「ええ。いずれ私たちの“休日先進区”モデルになるやもしれません」

「ところで……私たち、いつ休むんですの?」

「え? 休んでませんの?」

「あなたもでしょ!? 最近は“休日視察”って名目で、あちこちに出てるし!」

「ええい!私たちは“休日広報大使”なのです!これもまた、国のため!」

「美月様と3人で過ごす《休日温泉めぐり隊》の企画、通しましょう!」

「採用ですわ!」

________________________________________

◆ 再び、美月

「ふふ……“休むって、才能だなぁ”」

温泉街の縁側で、チグーと一緒に足湯につかりながら、美月はつぶやいた。

「もふ〜」

「チグーも、たくさん休めてる?」

「もふもふっ!(たぶん、“もうすこし昼寝したい”)」

「そっか〜。じゃあこのあとはお昼寝にしよっか」

その背後で、地元の子どもたちがチグーと並んで昼寝をはじめ、町中がぽかぽかの幸福感に包まれていった――。

________________________________________

◆ 次回予告!

次回、第2章 第10話では――

《週休3.5日モデルタウン》の実績を王国全体に報告し、いよいよ他都市への導入が検討されはじめる!


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