◆第2章第1話 連合王国誕生!薬膳の女王、美月の新たなる挑戦!
「結婚……してしまった、のか……」
王城の執務室。
自国の王——あのいつも朗らかだった人物が、渋い顔で窓辺に立っていた。
「ゼファル王子、見事な男だ。背も高いし、髪はさらさら、声もいい。性格もいい。料理も美味しく食べる。……完璧すぎるな!」
「ええ、それはもう……」
ギルド長が微妙な笑顔で相槌を打つ。
「しかし!だからこそ困るのだ!我が国の宝、美月を持っていかれてはならん!」
「とはいえ、すでに夫婦。国際問題にはできませんな」
「む、むう……!」
そこに、バタバタと駆け込んできたのは、リリアーナ。
「国王陛下ー! ゼファル王子と美月様からの“とっても頭のいい提案”が届きましたっ!」
「……なに?」
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◆その提案とは――?
「それはですね、両国を“連合王国”として統一しようという案ですわ!」
「なにっ!? 国を合併だと!? 王位はどうなる!」
「それが絶妙でして、どちらかの王が即位すれば不公平になる。
でも美月様は、両国から信頼されていて、どちらの国にも居場所がある……」
クラリーチェが説明を引き継ぐ。
「だから、“両国の初代女王”として、美月様が王位に就かれることに!」
「……つまり、美月が連合王国の“顔”となり、両国の橋渡し役を務めると……?」
「はい!さらに、美月様は王となっても領主としても働き続け、ラーメン事業と学院も存続。あっ、週休二日も継続です!」
「……むぅぅ……」
国王は大きく息を吸い、そして叫んだ。
「完璧じゃないかッ!!」
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◆新たなる始まりの鐘
王都の中央広場——
そこには、両国から集まった人々が見守る中、新たな“連合王国”の成立を祝う式典が開かれていた。
「我らが薬膳の女王、美月陛下、万歳!!」
「もふーっ!」
チグーもお祝いの舞(ぐるぐる回るだけ)を披露。
「ねえ、ゼファル王子って“王配”って立場になるのかしら?なんか響きがかっこいいですわ」
「というかゼファルって、いつのまにか料理の助手になってない?もう店の仕込みまでしてるじゃない……」
「わたくし的には、美月様が初代女王ってことは、歴史の教科書に乗るってことですわよ!?ひゃー、未来の子どもたちに“女王美月と愉快な仲間たち”って書かれたい!」
「あんた、自分を“愉快な仲間”にカウントしてるな……」
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◆薬膳女王、美月の新たなる国づくり!
こうして、
【薬膳】と【ラーメン】と【癒し】を国是とする、まさかの連合王国が誕生した。
名実ともに“女王”となった美月だが、
その日も屋敷でエプロンをつけてラーメンの試作に没頭していた。
「……新しいスープ、今日こそ完成させたいな。女王業も大事だけど、やっぱり私は、ラーメンと向き合っていたいから……」
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◆そして、新章へ――!
薬膳で人々を癒す女王として、
戦争なき世界を目指す平和使者として、
そして何より、ラーメンを愛する料理人として。
美月の物語は、まだまだ続いていく――!