表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/155

第106話薬膳VS毒膳!? 武器商人ギルドの挑戦状

東方エリアのラーメン支店に仕掛けられた“食中毒疑惑”は、すぐに濡れ衣であることが証明された。だが、武器商人ギルドはさらに過激な一手を打ってきた。

「――“毒膳ラーメン祭”ですって!?」

クラリーチェが机をバンッと叩く。

「“毒膳”……武器商人ギルドが主催のイベント。『薬膳なんて甘い、毒を喰らってこそ真の強者』だそうですわ」

リリアーナが資料をパラパラとめくりながら説明する。

「なんかもう、発想が時代逆行しすぎてるよね……」

美月は眉間にしわを寄せてため息をついた。

「ですが……放っておけませんわ」

リリアーナの声が低くなる。

「毒膳の噂で、薬膳の信用が落ちる可能性があります」

「それに……“毒膳”は本当に毒を使うらしいんです」

クラリーチェが青ざめる。

「試食用に支給された麺からも、痺れ成分が検出されました……!」

________________________________________

◆潜入!毒膳ラーメン祭

「よし、行こう。乗り込むよ、毒膳ラーメン祭へ」

美月は決意を固めると、屋敷の一同を見回した。

「私が参加すれば、“本物の薬膳”がどういうものか示せる。ラーメンは、人を弱らせるためじゃなく、元気にするためにあるって!」

「よっ、言ってくれるぜ!」

ギルド長が背中をバシンと叩く。

「でも潜入って……変装ですか!?」

クラリーチェが目を輝かせる。

「わたし、美月様のメイク係をやりたいです!」

「なんでそんなテンション高いの!?」

美月はおでこに手を当てた。

________________________________________

◆武器商人ギルドの刺客たち

毒膳ラーメン祭の会場は、闇市のような広場。

鎧を着た屈強な男たち、覆面の料理人たち、怪しい薬瓶が並ぶ屋台……その空気に美月たちは息をのんだ。

「いらっしゃい、薬膳姫」

暗がりから現れたのは、武器商人ギルドの幹部・ヴォルク。

細身の体に冷たい笑みを浮かべ、毒のような声でささやく。

「お前の薬膳外交は、世界の均衡を崩す。

病も争いもあるから、武器が売れるし、世界は回るんだ。……わかるか?」

「わからないね」

美月はきっぱり言い切った。

「ラーメンは、人を苦しめるためのものじゃない。そんな世界、私はいらない」

「ふふ……いい目だ」

ヴォルクが指を鳴らすと、毒膳ラーメンの鍋がずらりと並べられた。

「では、勝負だ。

“毒膳”が人を強くするか、“薬膳”が人を救うか……舌で決着をつけてもらおう」

________________________________________

◆薬膳ラーメンで毒を解く!?

美月は持ち込んだ薬膳スパイスと食材を並べた。

「毒に勝つのは、ただ解毒するだけじゃない。体を立て直すラーメンを作る!」

「ぐるるっ!(チグー:毒草はあっち!)」

チグーの鼻が次々と毒食材を見つけていく。

「おお、チグー優秀! それ入れたら全員アウトだから避けて!」

クラリーチェがバタバタと材料を整理。

「よし、これで……完成!」

美月が仕上げたのは、透明な黄金スープの薬膳ラーメン。

毒素を分解するハーブと体を活性化させる根菜を練り込んだ特製麺、そして体力を奪わないさっぱりしたスープ。

________________________________________

◆勝負の行方

審査員たちが、毒とは知らされず、攻撃力が上がるとうそをつかれて、毒膳を口にするが、顔をしかめて立ち上がる者も出てきた。

「……痺れる……力が……入らない……」

次に美月の薬膳ラーメンを口にした瞬間――

「体が、温かい……!」「痺れが引いた……!」

「これが……薬膳の力か……!」

湯気の向こうで歓声が沸き起こる。

湯気香メーターが「ラブ♡」「感謝♡」「元気♡」を示した。

「……ふん。だが、戦いはまだ続くぞ」

ヴォルクは悔しげに笑い、闇の中へ姿を消した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ