第103話王族 vs 冒険者!激突!?ラーメン食べ比べ合戦!!
「――というわけで、急きょ開催が決定しました! その名も……」
「ラーメン食べ比べ合戦!!」
美月の高らかな声に、サミット会場がどよめいた。
「ルールは簡単ですわ!」とリリアーナが続く。「各国代表が出した自慢のラーメンを食べ比べ、誰のラーメンが一番“人々の笑顔を引き出したか”を競うのです!」
「評価方法は?」
控えめに手を挙げたのは、海洋国家の王子。頭にはなぜかタオルを巻いている。
「もちろん、笑顔センサーつきの“湯気香メーター”で感情を可視化!」
クラリーチェが誇らしげに謎デバイスを掲げた。
「……それ、ほんとに動くの?」
心配そうな顔で見守るのはギルド長。
「なんか赤く光ってるけど……」「ぷしゅーって音してるけど……」「たまに“ラブ”って出るんですけど!」
周囲から聞こえるツッコミの数々に、美月が苦笑する。
「まあまあ、細かいことは気にせず、楽しみましょう!」
美月の言葉に、会場が一気に和やかなムードに包まれる。
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◆第一試合:王族チーム vs 冒険者チーム
「王家の誇り、黄金のコンソメ薬膳ラーメン! 参る!」
天空都市のゼファル王子が自ら鍋を振るいながら、気流に乗せて湯気を華麗に舞わせる。
「対するは、我らが冒険者ギルド最強の胃袋、ドラゴン討伐組チームだぜ!」
豪快に登場したのは筋肉もりもり、鍋を丸ごと担いだ冒険者たち。
「見ろ! これが肉の壁だ! トリプルチャーシュー岩塩ラーメン!!」
観客「ワァァァアーーー!!」
「さあ、実食タイムです!」
司会のクラリーチェが小さな鐘を鳴らすと、審査員たちが一斉にラーメンをすすり始めた。
「むう……この澄んだスープ、まるで空を飲むかのような清涼感……」「チャーシュー三枚食べたら口が閉じなくなったけど最高だった!」
湯気香メーター「ラブ!」「ほっこり!」「むふふ!」
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◆舞台裏でも白熱「……リリアーナさん、あのセンサーって絶対おかしいですわよ。『むふふ』って何?」
「ええ、それ私も気になっていましたの。昨日の夜にチグーが配線いじってた気が……」
!?
「……チグー、また……」
チグー「もふっ(知らないふり)」
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◆結果発表!
「勝者は……」
ドラムロールが鳴る中、美月がカードを掲げる。
「……引き分けです!!」
「なにー!?」
「いや、ほんとに笑顔の数も“むふふ”も全く同じだったの……」
美月が苦笑しながら説明すると、会場からは拍手と笑いが巻き起こった。
「よろしい! ならば次は、我が学者連盟の薬膳カレーラーメンで挑もうではないか!」
「貴族だって黙っていられませんわ! “絹のスープ”と称されるわたくしの一杯を!!」
次々と名乗りを上げる参加者たち。
「――あの、美月さん……この合戦、いつ終わるんですの?」
リリアーナがささやく。
「さあ……来週くらいまでは続きそうかも?」
「ええ……まったく、平和って、忙しいですね……」