最終話 これから先も
——実を言うと、あの日の記憶は、かなり曖昧なんだ。
園次郎、結丸、義翔も、『四天の鬼』を退治したあと、しばらく意識を失っていたらしい。
園次郎の話を簡潔にまとめると、一番最初に目を覚ました園次郎が、『鬼ヶ島』の奥へ進んだ。
そして、倒れていた結丸と義翔を起こして、さらに奥へ進んだ。
最後に、倒れているぼろぼろの僕を起こしたらしい。
確かに、勝利をつかんだ記憶はあるのだけれど、未だに、僕が【豪鬼】を倒したという実感は湧いてこないんだ。
兎にも角にも、『鬼ヶ島』から脱出しようと、僕たちはぼろぼろの身体を引きずって、来た道を戻っていったんだ。
洞窟から出ると、この島にたどり着いたときが、僕らの幻想だったんじゃないかな、と思うくらいに、雲ひとつない晴天だったんだ。
海も信じられないくらい穏やかになっていて、帰りの航路は快適かつ迅速だったんだ。
冬の村に戻ってきた僕らは、村人全員から歓迎されたんだ。
ちょっと恥ずかしかったよ。
そのあと、三日三晩、鬼退治成功の祝宴は続いていたんだ。
本当はすぐに春の村へ、おじいちゃんとおばあちゃんのところに帰りたかったんだけど、緊張の糸が切れたのか、筋肉痛で動けなくなっちゃったんだ。
四人ともね。
栗坊とは、一緒にきびだんごを食べたんだ。
冬の村を出るときに、ちゃんと栗坊にお別れは言ったよ。
また会おうねって。
寂しいけど、いつかまた会えるからね。
秋の村でも、すごく歓迎されたんだ。
どんちゃん騒ぎになって、たくさん褒められて、こそばゆかったな。
秋の村で、二日間ゆっくりした後、出発したんだ。
結丸と義翔とのお別れは寂しかったな。
すごく長い間一緒にいたような気がするからね。
今でも、近くに二人がいないのは違和感があるよ。
二人と、あと秋の村の村長とも、一緒にきびだんごでお別れの宴会をしたんだ。
おばあちゃん秘伝のきびだんごは、食べた人みんなを虜にしていたよ。
ちょっと、話が脱線したね。
そう、二人と、結丸と義翔とのお別れだ。
でも悲しくはなかったよ。
二人とはずっと仲間だしね。
また、すぐに会えるような気もするんだ。
夏の村は、前来たときより人が多かった気がするな。
凄く活気があって、みんな笑顔で、とても素敵なところだよ。
園次郎のお兄さんのお墓がある山にも行ったんだ。
お兄さんに報告してたのかな。
珍しく静かにしてたよ。
しばらくしてから、聞いたんだ。
園次郎は、また旅に戻るのかどうかを。
そしたら、しばらくは一緒にいてくれるって。
嬉しかったな。
それで、一緒に春の村に帰ってきたんだ。
******
「いろいろと大変だったんじゃのう」
「とにかく、無事に帰ってきてくれて嬉しいわ〜」
僕の『鬼』退治の旅の話を聞いたおじいちゃんとおばあちゃんは、とても満足そうな顔をしていた。
つられて僕もにやけてしまう。
「三人とも嬉しそうだぞ! わん!」
「そうだね。うん、凄く嬉しいよ」
「わおん!」
春の村から少し離れた山のふもとにある家。
僕たち四人は、お茶を飲みながらくつろいでいた。
すごく大変な旅だった。
今は少しくらい休んでも罰は当たらないだろう。
すっかり仲良くなった園次郎とおじいちゃん、おばあちゃん。
そんな三人の笑顔を見て、僕はしみじみとそう思った。
おしまい
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
酷評でも構いませんので、感想をいただきたいです。
都合がよろしければ、次の作品も読んでいただけると非常に嬉しいです。




