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第7話 貧乏の上に素材がない

 気を取り直して、錬金術にかかろうと思ったんだけど。


「素材がほとんどない」


 手元にある素材は、井戸水と砂だけ。

 一番役に立ちそうな初級ポーションの材料である薬草がない。


『ないなら買うしかないけど、お金……』


 お金、今のお金は……100ゴル……


『アリスちゃん貧乏なのか……』

『100ゴルだとそれこそパンくらいしか買えないのでは?』

『明日、生きるのも厳しいレベルでは?』

『餓死寸前?』


「あ、一応、食料はあるよ? というか、昨日買ったからお金ないだけだよ!」


 貧乏という点は否定できないけど、1週間生きるくらいの食料は備蓄してある。


『それはいいけど、素材がないのがなぁ……』

『確か、冒険者ギルドに行けば初級ポーションは買い取ってもらえたはず?』

『まぁ、初級ポーションの売値8ゴルだけどね』

『アリスちゃんそんなんでよく生きてこれたな』


 ね、今思うと酷いよね。

 錬金術もほとんどやってなかったし。

 でも、記憶を取り戻すまでそれに全く気がついてなかったんだよね。


「一応、祝福を受けた時に、補助金をもらったからそれのおかげかな」


 とは言いつつも、その補助金も使い切って残り100ゴルなわけだけど。


『そうなると、自分で素材取りに行くしかないな』

『まぁ、薬草くらいならさほど危険はない……はず?』


 そうなるよね。

 でも外には魔物が……


『街の直ぐ側ならミニラビットかスライムくらいしか出ないから』


 それなら大丈夫かなぁ……


「よし! それじゃあ、今ある素材使い切ったら採取に行こうか」


『浄水と投石……作る意味あるのか?』


「一応、少しでもレベル上がらないかなぁっていう……」


『まぁ、その数だとレベルは上がらないかなぁ』


 うん。知ってた。

 錬金術自体はアリスがやったことあるので、なんの問題もない。

 UIに従って、錬金釜に素材を放り込んでかき混ぜるだけだ。


 ちらっと、見た残りレベルアップまで、30とかいう数字が出てたけど。

 ひとまず、見なかったことにする。

 ま、まぁ、どういう経験値の入り方するかわからないし?


 錬金釜に砂を2ついれて釜をぐるぐる。

 1分ほどかき混ぜると、無事に投石が出来上がった。


 錬金液に浮いている投石を意識すると自動的にインベントリにしまわれた。

 よくよく考えたら、このインベントリなんてシステム、まさにゲームだよね。

 この世界に生きてた昨日までなんの違和感もなく使ってたよ。


『砂2個で投石が10か』

『やったねアリスちゃん数が増えるよ!』

『懐かしいトラウマやめれ』


「まぁ、使い物にならないっていう投石だけどね」


 見ると、さっきまで30だった残り経験値が29になっていた。

 一回の錬金で1減ったのか。ってことは残り29回やればレベルが上がる?


『初期ボーナスがあって1だからね、2回目以降は半分だよ』

『1の半分は0.5なんだが?』

『つまり、2回作らないと1減らないという……』


 なにそれ、ってことは残り29ってことは60回作らないといけないわけ?

 それ大変すぎるでしょ。


『だから、錬金術師はみんなやめていくんだよなぁ……』


 みんなが散々言っていた、レベル上げが大変という意味がよくわかった。

 残りの素材で投石10個×2回と浄水5個×1回を作った。

 浄水は初回ボーナスで1減って、投石は2回で1減ったので、残り経験値は27だ。

 うん、これは苦行だわ……


『まぁ、初級ポーションはボーナス2の通常1だから倍のスピードだから』


 やったね、回数が半分になるよ!


『それでもレベル2っていう……』


 それは言わないで……



 折れそうな心になんとか杖を突きながら歩き街を出る。

 そういえば、アリスも街から出たことはなかったね。

 出る時に衛兵がちらっとこちらを見た一瞬何か言おうとしてたけど、結局何も言われなかった。


『街からはあまり離れずに、周り回るのがおすすめ』


 という視聴者さんの言葉通りに、街の周りを回ることにした。

 いやぁ、しかし、見渡す限り平原だなぁ。

 前世の記憶からすると感動ものなんだけど、アリスの記憶が普通だと思っていてなんとも微妙な感覚。


『そういえば、アリスちゃんって何歳なの?』


 魔物がいないか、素材が近くにないか注意深く見ていた私にコメントが聞いてきた。

 少し気が張っていたので息をつきながら答える。


「えっと、アリスとしては15歳だね」


 元の私としては、もっと上だけど。


『あら? 思ってたより高い?』

『公式に情報なかったからな、掲示板でいくつか議論されてたんだ』

『最終的な結論としては12くらいになったんだっけ?』


 へぇ、なんかちょっとおもしろいね。

 まぁ、言った通り、私は15なわけだけど。


『一番低い年齢で7歳ってのもあったがな』

「どこをどう見たら7歳に見えるわけさ」

『一応根拠としては、元となった原作のアリスが7歳ってことらしいけど、流石にそれはないって言われてたな』

『まぁ、ペドのことは放っておいてだ』


 うん?


『あれ、素材じゃね?』


 えっ?

 言われて見ると、街の壁のところに何か光っているのが見える。

 素材は光っているもの、これは常識だよね。

 駆け寄って見てみる。

 そこにあったのは、草。

 それも、


「薬草! やった、これで初級ポーションが作れる!」


 喜んで採取する。

 光が消えるまで採取できるから、薬草が5つ手に入った。

 薬草1つで初級ポーションが2個作れるからこれで10個初級ポーションが作れる。


『やったねアリスちゃんお金がもらえるよ』

『ただし、全部売っても80ゴルである』

『やったねアリスちゃんお金が倍(近く)になるよ』


 貧乏なのは放っておいて。


「お金よりも経験値になるほうが嬉しいかな」


 それでも全然足りないけどね。


『えっと、27-2(初期ボーナス)-1×4で残り21か』

『まぁ、2周くらいすればギリギリ?』

『採集ポイントはランダムだからなぁ……、運が悪いとここだけって可能性も……』


 採集ポイントがいっぱい見つかりますように!


お読みいただきありがとうございます。

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