第23話 鉄の弓と矢
「さて、それじゃあ鉄を使って色々と作っていくよ!」
次の日、気合を入れて宣言をした。
「頑張ってください!」
『がんばえー』
『鉄って言うとあれかな?』
『またアリスちゃんの攻撃力が上がるのか』
『今でも錬金術師の割には攻撃が強すぎなのよ』
私の宣言を聞いたルーナちゃんと視聴者さんが応援してくれる。
どうやら視聴者さんは私が何を作るか分かっている様子。
でもルーナちゃんにはその声は聞こえないからね。
「それじゃあ、まずは新しい弓を作っていくよ」
「弓ですか?」
「そう、この鉄を使った鉄の弓だよ」
鉄の弓。なんかゲームだと定番だけど、実際に見たことはない。
この世界だと木の弓と同じように扱えるらしいとのこと。
武器としては間違いなく強くなるはずなので作ることにした。
『攻撃力倍くらい変わるからな』
『石と比べると作れるレベル全然違うからね』
『今は石の弓か』
「あ、ちなみに錬金術師のレベル25が推奨だから、ルーナちゃんはまだまだ先だね」
「25ですか!」
ちなみに今の私のレベルは29になっている。
色々と作ったのとヴァルキリーの3人と一緒に戦わせてもらったから経験値がだいぶ手に入ったよ。
もうちょっと30で2次職とやらになれるはずだ。
それもこの弓を作ればきっと加速するはず。
まぁ、弓は消耗品じゃないからレベルは上がらないけど、戦いやすくはなるってことで。
「えっと、レシピは……」
レシピを見ながら必要な素材を見繕う。
元々作るつもりだったから、レシピを買った時に必要な素材は整えてある。
唯一、数が少なかった鉄も昨日沢山手に入れたばっかりだ。
それじゃあ、作ろうかな。
「というわけで完成品はこちらです」
完成した弓を掲げる。
「アリスさん?」
いかん、ちょっとテンションが上ってしまった。
ルーナちゃんに変な目で見られちゃったよ。
『テンション上がっちゃったアリスちゃんかわよい』
『スクショ撮った』
『切り抜きします』
放送もしてたんだった、そっちにも見られちゃった。
「こほん、これが鉄の弓だよ」
ルーナちゃんに渡す。
「あ……重いし大きい……」
ルーナちゃんの体格からするとちょっと大きいかな?
私でも大きく思うんだからそれも当然か。
「私じゃ引っ張れないです……」
ルーナちゃんが弦を引っ張っているけど、全然引けていない。
うん、やっぱり硬いよね。
ルーナちゃんから返してもらって私も引っ張ってみる。
「うん。硬い。強そう」
構えて引っ張るとちょっと引ける。
でも硬すぎる感じもしないし、体感的には木の弓とあんまり変わらない。
でも見た目は完全に鉄なんだよね?
どうなっているんだろう?
まぁ、気にしてもしょうがないか。
「それじゃあ、次はこれに使う矢の方を作っていくよ」
弓だけじゃ終わらない、私的には矢の方が本命だ。
「ちなみに、これも推奨レベルが23だからルーナちゃんは無理だね」
「矢でも23なんですか!」
『そう23なんよな』
『錬金術師としてはかなり高めよな』
『しかし、レベルが23ということは……』
『使うたびにそれだけ経験値が稼げるってこと!』
『アリスちゃんのレベルがこれまでより上がりやすくなるぞ!』
そういうこと。
推奨レベルが高ければそのアイテムを使った時に入ってくる経験値が高くなる。
それに敵に与えるダメージも上がるから一石二鳥だね。
まぁ、その分鉄が沢山必要になるんだけどね。
鉄の矢は弓と違って見た目も凄くわかりやすい。
木がそのまま鉄になっただけだからね。
ちょっと重そうだけど、これもゲーム補正で木の矢と同じ体感で使えるらしい。
作り上げた鉄の矢を眺める。
『鉄の弓に鉄の矢。これでクエストは乗り切れそうね』
『そうだね。後衛は比較的楽だったからね』
『アリスちゃんなら誤射もないだろうし安心』
『爆発ビンもあるからね』
『考えれば矢と爆発ビンつければさらに経験値上がりやすくなるのか』
そうなんだよね。昨日もそれで戦ってたからレベル上がりやすかったのもある。
木の矢から鉄の矢に変えたことでさらに上がりやすく。
もうホクホクだなぁ。
「さて、それじゃあ、これを量産していこうかな」
ある程度だけ鉄を残して残りは全部鉄の矢に使うつもりだ。
爆弾の強化? っていうやつもできるだろうけど、やっぱり矢はいっぱい使うからね。
用意しておくに越したことはないよ。
そんなわけで沢山、矢を作っていると。
カランカランと扉が開く音がした。
「いらっしゃいませー」
すぐさまルーナちゃんが接客に向かう。
お客さんかな?
私もそちらの方を見ると、
「あ、ジニーさん」
「アリスちゃん、昨日ぶりね」
やってきたのは昨日ユアンヌへ向かったはずのジニーさんだった。
「もう帰ってきたんですか?」
「ええ、馬を使ったら本当にすぐに着いたわよ」
どうやらかなり急いで行き帰りしたらしい。
「それよりも本当にユアンヌまで繋がっていてびっくりしたわ。向こうの冒険者ギルドにもちゃんと挨拶してきたし」
ユアンヌのギルドか。
「ギルマスとか元気にしてましたか?」
「ええ、ちゃんと行った証拠として手紙も貰ってきたわ。アリスちゃんの事も伝えたらびっくりしてたわよ」
まだ王都に来てからそんなに経っていないんだけど、結構前みたいに感じるね。
「とりあえず、その件も含めてこれから冒険者ギルドに報告に行きたいんだけどいいかしら?」
「あ、はい。大丈夫です」
作業も一段落ついたところ。
「ルーナちゃん、ちょっと出かけてくるね。多分、そんなに時間はかかからないと思うけど」
「はい! いってらっしゃい!」
ルーナちゃんに手を振って冒険者ギルドに向かった。




