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【視聴者さん】転生先はVRMMOのNPC!?転生して最弱の錬金術師になった私はゲームの中からVtuberとして配信します!【助けて】  作者: 猫月九日
最初の街編

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第42話 開戦

 ついにこの時が来た。

 私は、街の防壁の上に立って、外を見ていた。

 遠くまで見渡せる。

 慣れている場所なはずだけど、少し空気が重く感じる。

 それもそのはず、下を見下ろしてみるとそこには防壁の前に武器を構える人達がいる。


「アリス」


 そんな人達を眺めていると話しかけられた。


「ギルマス」


 振り返って確認すると、強面の男性だった。


「……本当にここにいていいのか?」


 それは何度も確認された内容だった。

 その度に私は同じ答えを返す。


「作戦を立てた責任もありますし、アイテムの効果も確認したいので」


 責任感というのもあるけれど、それよりも結果を確認したいというのが一番の理由だ。


「他の生産職は家から出ないようにしてるのだがなぁ」


 生産職で外に出ているのは、私だけ……、いや、違った。

 もう一度下を見てみる。

 その中には、見慣れた緑色の髪にかついだハンマー。

 ロナさんだ。


 生産職だけど、この街でも随一の攻撃力を持つロナさんはゴブリンの討伐部隊に参加している。

 確かに、攻撃力だけは凄いからなぁ。

 それでも、それは武器のお陰であって、ロナさん自身のステータスはそれほどでもないとのこと。


「ほら、ロナさんも参加してますし。それに、リーズさんからもらったこの装備もありますから」


 ここに登る前に、リーズさんから渡された新しい装備。

 見た目は、前とほとんど同じローブだが、その性能は段違いだ。

 今までの、装備の倍以上、視聴者さん曰く、


『防御力だけなら、今の前線で売ってるレベル』


 とのことだ。

 そんな装備をさっと用意しちゃう、リーズさんはさすが商業ギルドのマスターだと思う。

 ちなみに、特注品らしく、私の分しか用意できなかったとのこと。

 街の皆の分用意できたら良かったんだけどね。


「まぁ、そういうことでここで見させてください」


「……わかった。アリスには世話になったからな」


 しかし、


「危なくなったら絶対に避難するんだぞ」


 そう言って、ギルマスは去っていった。


「……ふぅ」


 流石に緊張してきた。

 コメント欄に目を移す。


『いよいよ……か……』

『大丈夫……大丈夫なはず……』

『なんか、自分のこと以上に緊張してる自分がいる』

『わかるわ』

『それな、自分の時は楽しみだったけど、見てるだけなのがちょっと怖い』

『応援することくらいしかできない』

『アリスちゃん頑張れー!』


 コメントの流れもいつもよりもずっと早い。


「ありがとうございます」


 コメント欄が何故か緊張してるので、少し面白くなって逆に落ち着いてきた。


『同接数かなり凄いな』

『今までもちょくちょく増えてたけど、比較にならんくらい凄いな』

『初見だけど、サンセイがミラーして拡散してたで?』

『ついでに、今までの解説つき』

『何してんだあのGM』


 やけに多いと思ったらそういうことか。


GM『ただのファンの義務です』


『本人おるやんけ』

『まぁ、ミラーしてるくらいですし』

『でも、わかるわ、広めるのはファンの役目だもんな』

『今もいろんなところで、拡散してるから、もっと増えると思われ』


 いや、もう視聴者さんの数とか見たことのない数字になっててなるべく見ないようにしてるけどね。

 その辺りのことは、とりあえず、この戦いが終わってから考えよう。

 まずはここ戦いを終わらせること、そこに集中しよう。

 とは言っても、やることはそんなにないんだけどね。


 GMさんから事前に聞いて、その合計HPだけなら倒せるだけの爆弾は用意した。

 ギルマスに渡して下の人達にも受け渡し済み。

 やることは唯一つ、固定ダメージによるただの数の暴力だ。

 コメントを見つつ、視聴者さんと話していると、ふと地面が揺れるのを感じた。


「うん?」


 気のせいかと思ったけど、確かに感じる揺れ。

 遠くを見ると、かすかに砂埃らしいのが上がっているのが見える。


「……きたっ!」


 私がそれを認識すると同時に、

 カーン、カーン、カーン と鐘が鳴る。

 3回の合図は、魔物襲来の合図だ。


「魔物だっ!! ゴブリンが来たぞっ!!」


 ギルマスが大きな声で叫んだ。

 一瞬の緊張感と共に、皆が、それぞれの配置に着く

 私は、相変わらず同じ場所で立ち上がる砂埃を見ていた。


『数……俺達の時ほどじゃないけど、それでもやっぱり壮観だなぁ』

『配信にも地響き聞こえてくる』

『心臓のドクドクで聞こえんわ』

『どんだけ緊張してんだ』


 砂埃が近づいてくると、中に紛れたゴブリンが見える。

 横一列に広がる、ゴブリンが見える。

 その後ろにも更に続くゴブリンそしてその上位種っぽいゴブリンも見える。

 GMさんから直接聞いた数を思い出す。


「100体くらい……だっけ? やっぱり聞くのと見るのは違うね」


 通常のゴブリンが60匹で、上位種であるホブゴブリンが40匹。

 そしてゴブリンリーダーが1匹の合計101匹のはず。


 最初に100体って聞いた時は、絶対無理だなんて思ったっけ。

 それはそうだ、その時は、一人で相手をする想定だったんだから。

 でも、今の私には、仲間がいる。


「来たぞ! 総員、爆弾を構えろ!」


 ギルマスの声が飛ぶ。

 私も、少しでも助けになるように、爆弾を構えた。


「防衛ラインを超えたら投げるんだ!」


 ゴブリンの集団ははっきりと目で見えるようになった。

 そして、予め決めていたラインに差し掛かる。


「投げろ!!」


 全員が一斉に爆弾を投げる!

 その一つが敵にあたった瞬間、轟音と共に、地面が弾けた。

 これ以上にない開戦の合図だ。


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