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【視聴者さん】転生先はVRMMOのNPC!?転生して最弱の錬金術師になった私はゲームの中からVtuberとして配信します!【助けて】  作者: 猫月九日
最初の街編

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第32話 ロナさんにごちそうとお返し

 森の奥まで入ったけど、結局一度もゴブリンは出てくることがなかった。

 ロナさんとしても、これは何かしらの異変が起こっていることは間違いないだろうとのことだった。

 すぐにでも、冒険者ギルドに報告に行こうと思ったんだけど。


「お腹がすいた」


 ロナさんのお腹が限界だったので、ご飯にすることにした。

 今回は大事を取って、戻って食べることにした。

 やっぱり、何が起こっているかわからない森の中で食べるのは落ち着かないからね。


「どうぞ、いらっしゃい」


 私のアトリエにロナさんをご招待する。


「……」


 ロナさんはキョロキョロしながら入ってきた。


「でっかい釜」


「その大釜は錬金術用ですね、それに素材を入れて錬金術で加工します」


 どうやら内装が気になる様子。

 まぁ、大釜が目立つよね。


「時間があれば見せてあげてもいいんですが、それよりも食事にしましょう」


 ロナさんを促して、二人で食卓に着く。


「……」


 なんだか、ロナさんが微妙に落ち着かない様子なんだけど、なんでだろ?

 まぁ、きっと、食事が気になっているだけだろう。


「今日のメニューはこちらです」


 ドドンと頭の中で効果音を鳴らしながら取り出したるは、先日作ったウルフステーキのチーズかけ。

 とろとろのチーズが美味しそう。


「……!」


 早速ロナさんの目が輝いた。


「先日、いただいたウルフの肉を錬金術でステーキにしたものになります」


 もらったアピールをしつつ、ロナさんを促す。

 私が言うや否や、ロナさんはステーキを切って口に運ぶ。

 うーん、一切れがでっかい。

 しかも、目を輝かせたまま、すぐに二切れ目に入った。

 これじゃあ、すぐに食べ終わっちゃうかな?

 案の定すぐに食べ終わったロナさんは、一言。


「チーズ好き」


 あ、そうなんだ、期せずしてロナさんの好きなものを知ってしまった。

 また、何かあったらチーズ使った料理とか考えてみようかな?

 ま、今は残りのステーキを……


「沢山もらったので、沢山用意してますよ!」


 じゃじゃんと脳内で効果音を鳴らしながら、机の上に3枚ほど広げる。


「アリス、好き」


 おっと、告白されてしまった。

 視聴者さん、GMさんの話だと、ロナさんは難攻不落って聞いてたけど、そんなイメージは全然ないなぁ。

 ただ、ひたすらにステーキを食べるロナさんを眺めつつ、私も自分の分を食べるのだった。

 あ、私の分は一枚だけだよ。

 一枚でも十分でかいんだから。



「美味しかった」


「お粗末様です」


 私が作ったステーキをたっぷりと平らげたロナさん。

 この沢山食べるのもドワーフのハーフだからなのかな?

 ……この細身の身体のどこに入っているかさっぱりわからないけど。


 さておき、食事も終わったことだし、冒険者ギルドに報告に行こうかな。

 立ち上がった私だったが、


「アリス、待って」


 ロナさんに止められた。

 見ると、ロナさんが、自分のインベントリからなにやら取り出した。

 形に見覚えがあるけど。


「これあげる」


 それをそのまま私に差し出してきた。


「これは……もしかして錬金釜ですか?」


 見覚えがあるのは当然。

 この部屋にもある、錬金釜を小さくしたような形のものだ。

 大きさで言うと、両手で持てるサイズくらい。


「どうしたんですか? この釜」


「作った、この間のお礼に」


 作ったの! これを!

 びっくりした。

 錬金釜というのは、普通の釜とは違って少し特別なのだ。

 魔力を注ぐと、中に錬金液が発生したり、錬金に適した魔力循環をしたりと、なかなか高度な技術なのだ。

 しかも、それをこのくらい小さく作るというのは、さらに特別な技術が必要になる。


「これ作るの相当大変だったんじゃないですか?」


「私一人だと無理だった。父と母にも手伝ってもらった」


 ロナさんの父親は鍛冶屋の親方さんだったっけ?

 母親の方は、エルフって聞いてるけど、どうやら二人共相当な凄腕らしい。


「えっ? こんな凄いものもらっていいんですか?」


 正直、対価に釣り合っていない気がするんだけど?

 値段とか考えたくないくらい高いと思う。


『携帯型錬金釜……』

『携帯になるだけで、値段跳ね上がるよなぁ』

『鍛冶の携帯設備持ってるけど、200万ゴルくらいした気がする』

『そんな高いんか!』


 あーあー、私は何も見てないし、聞いてないよ。


「アリスのために作ったからもらって欲しい」


 遠慮したいところではあるんだけど、真剣な目でそう言われてしまった。

 そんな顔して言われたら断れないよ。


「……はい、じゃあ受け取ります。ありがとうございます」


「……ん」


 あー、もらってしまった。

 嬉しい気持ちはもちろん、あるけど、それ以上に申し訳ない。

 何かお礼をしないと……


「ロナさん、何か欲しい物とかありませんか?」


「ん?」


「お礼のお礼みたいにはなってしまいますが、何か返せたらなぁと……」


 私にできることと言えば、錬金術くらいなので。


「……ん、だったら、今度うちに食事作りに来て」


「……はい?」


 あら? 確かに作って返すつもりだったけど、錬金術じゃなくて料理?


「父と母にも食べさせたい」


 しかも、両親も含めてとな。


「あ、いや、そのくらいはお礼じゃなくても普通に行きますけど」


「じゃあ、それで」


 ロナさんはそれで話を締めてしまった。

 口を挟むスキもなく、私の手をつかんで家から出ていく。

 えー、そんなことで、このお礼になるのかな?

 ロナさんとは、仲良くなってきたとは思うけど、何考えてるかイマイチわからない時があるなぁ。


『なるほど、両親へのご挨拶か』

『てえてえ』

『お嬢を私にくださいをいいに行くのか』

『アリスちゃん、覚悟しとかないとね』


 なんか、視聴者さん達が言ってるけど、多分、違うと思うよ。

 ……違うよね?


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