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【視聴者さん】転生先はVRMMOのNPC!?転生して最弱の錬金術師になった私はゲームの中からVtuberとして配信します!【助けて】  作者: 猫月九日
最初の街編

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第29話 納品のお礼

 朝、私はいつもより少し遅めの時間に起きた。いつもなら1つ目の鐘で起きるのに、2つ目の鐘での目覚めだ。

 昨日は錬金術に集中しすぎて、本当に疲れた。


 でも、私はやりきったのだ。

 視聴者さんが作成してくれたリストに載っているアイテムをすべて作成して、後は最後の1回を納品しにいくだけ。

 途中で配信時間は終わりになってしまったけど、あれから2往復も冒険者ギルドを往復したよ。


 いつもより遅く起きたことで、普段ならゆっくりと行う朝の作業を急いで終わらせる。

 ギリギリでいつも配信を始める時間には間に合うことができた。

 眠い目をこすりつつ、報告をする。


「というわけで、頑張った結果レベルが8になりました」


『おめっ!』

『早すぎィ』

『アリスちゃんあの後もずっとやってたんか……』

『よくそんな集中できるなぁ』

『頑張りすぎは良くないぞぉ』


 お祝いされるのはいいけど、心配されてしまった。


 うん、自分でもやりすぎた気はしてる。よくよく考えれば昨日だけで終わらせる理由そんなになかったよね。


「レベルが上がって作れるアイテムが増えたけど、依頼書の消化は明日以降にするよ」


『一応レベル10まではまとめてあるけど、今は出すのやめとくわ』

『せやな、今のアリスちゃんは見せたらやり始めかねん』

『ブラックロウドウ、ダメ、ゼッタイ』


 視聴者さんからも休めとのこと。

 まぁ、どのみち、素材がほとんどないから、作成もできないしね。


「それじゃあ、とりあえず、冒険者ギルドに納品に行こうかな」


 その後は、お金も大分できたので、何か美味しいものでも食べようかな。

 そんなことを考えつつ、冒険者ギルドでミナリアさんに会った私だったんだけど。


「アリスちゃん、ギルドマスターが呼んでいるわよ、なんでも仕事の相談があるらしいわよ」


 立てた予定が崩れていく音がした気がした。



 ミナリアさんに案内された先は冒険者ギルドでも最上階にある部屋。


『ここの冒険者ギルドマスターってどんな人だっけ?』

『見たことないわ』

『襲撃イベントの時に顔見せたくらいでそれ以外出てないはず』

『たしか、剥げたおっさんじゃなかったか?』

『なんだ男か』

『女のギルマスは王都まで我慢してもろて』


 冒険者ギルドのマスター、遠目には見たことあったかな? 見た目は、体格の良い、スキンヘッドのミドルだった気がする。もちろん、話したことはないけど。


「ギルマス、アリスさんをお連れしました」


 ミナリアさんがノックをして、中へと誘われる。


「俺がこの街の冒険者ギルドマスターのグレッグだ」


「あ、はい。錬金術師をしてます。アリスです」


 強面のギルドマスターから挨拶をされた。


『うわっ、威厳やばっ』

『剥げたおっさんとか言ってたやついたけど、完全に歴戦の猛者じゃねぇか』

『多分、元冒険者とかだと思われ』

『笑顔だけど、子供が見たら泣きそうwww』


 子供が見たら泣きそうというのは、私も同意。

 私は、子供じゃないけど、直視するのがちょっと辛いレベルだわ。

 私のそんな様子に気がついたのか、ミナリアさんが笑った。


「アリスちゃん、大丈夫よ。ギルマスは見た目ほどそんな怖い人じゃないわよ」


「見た目ほどは余計だ、ミナリア、案内ご苦労だったな。仕事に戻っていいぞ」


「あら? 私がいなくてちゃんとお話できるのかしら? 今もアリスちゃんに怖がれているのに」


「……そんなに怖いか?」


 ミナリアさんとギルマスの会話を聞いていると、少し慣れてきた。

 しかし、ミナリアさん、自分の上司なのに容赦ないな。


「どのみち、私もお礼を言いたかったから」


 うん?


「お礼……ですか?」


 この様子だと、私はお礼を言われるために呼ばれた?


「ええ、昨日の今日の事だもの、冒険者ギルドとしてはすごく助かったのよ」


 どうやら、昨日色々と納品した件についてらしい。


「ごほん、アリス、昨日お前がやってくれた依頼だが、なかなか受けてくれる人がいなくて困っていたんだ」


 あー、結構な数があったもんね。そりゃ、依頼を受けつけている冒険者ギルドとしては困るか。


「それを一人で相当な数を受けてくれたと聞いた。しかも、一日で。冒険者ギルドとしては非常に助かった」


 感謝すると、頭を下げられてしまった。

 あー、いやー、好感度を稼ぐつもりではあったんだけど、そう改まって頭を下げられると困ってしまう。


「いえ、私は自分のやれることをやっただけですから」


 頭を上げてくださいと促す。

 自分より相当歳上の人に頭を下げられるのは気まずい。


「ふふっ、アリスちゃん、自分がどれだけ凄いことしたのかわかってないみたい」


 私達本当に困っていたのよと、ミナリアさんも笑う。


「そうだな、我々としては、おまけでボーナスくらい出したいところなのだが……」


 頭を上げた、ギルマスが頭をかきつつも、ちらっとミナリアさんを見る。


「ギルド規定上納品依頼にボーナスを出すことはできません」


「そういう決まりでな、こちらで何かお礼になることはないか考えたのだが」


 ギルマスが、一枚の紙をミナリアさんを通じて渡してきた。

 受け取って見てみる。


「調査依頼……ですか?」


 紙に書かれていたのは昨日私が受けたような納品依頼とは違って、異変についての調査の依頼だ。


「ああ、近くの森で魔物が減っているとの噂でな、その調査をお願いしたい」


 近くの森は、この間ロナさんと行ったんだけど。減ってたの?


「ちなみにロナちゃんも一緒よ」


 あ、そうなんだ。ロナさんが一緒なら近くの森くらいわけないだろう。

 むしろ、私いらないんじゃ?


「ロナちゃんは、ほら、あんまり細かいこと気にする子じゃないから……」


 なんとなく、言葉を濁された感じがするけど、確かにロナさんは報告とか苦手そうなイメージ。


「実際のところ異変の可能性は低いと考えている」


「あれ? それならなんで?」


「低いとはいえ、こういうところから何か見つかる可能性もあるのだ」


 それは確かにわかる。あれ? ひょっとして、この依頼ってそういうことかな?


「まぁ、ギルドとしては、あまり声を大きくは言えないが、アリスへのお礼のつもりだ」


 お礼が依頼? よくわからないんだけど。


「あれだけ依頼をこなしてくれたのは、何か事情があって急ぎで実績が欲しいからだとこちらは考えたのだが」


 あー、なるほど。

 確かに、好感度、それに冒険者ギルドでの実績があれば話も聞いてくれやすくなるだろう。そういう意味では間違っていない。


「こういう調査の依頼は、ギルドとしては信用があるものに任せることにしている、つまりこの依頼を受けたアリスは信頼をできるものとの評価がつく」


 うん。理解した。今の私の状況にぴったりだ。


「わかりました。その依頼お受けします」


 むしろ、断る理由がない。

 だって、多分この依頼、後の四天王襲来に関係あるかもしれないんだから。



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