第14話 スライムと戦う
投石も補充できたわけで、今度こそ採取へ向かう。
ひとまず、昨日と同じように街を一周してみたわけだけど……
「しょっぱい……」
成果はミニラビットが一匹と薬草が5個だった。
『まぁ、こういうこともあるわな』
『運次第だもんね』
『アリスちゃんどんまい』
視聴者さんたちが慰めてくれる。
「ありがとー」
と返事を返しながらも迷う。
「うーん、やっぱり森に行くしかないのかなぁ」
歩いてすぐのところには森がある。
そこに行けば街を回るより沢山、いろんな種類の素材が手に入るわけらしいんだけど。
魔物も出るんだよなぁ……
『魔物って言ってもスライムでしょ?』
『ミニラビットと対して変わらんよ』
『奥の方までいかなければスライムだけだし平気平気』
と視聴者さんは全く問題ないと言ってくれている。
もはや動物と対して変わらないミニラビットに対して、スライムと聞くと魔物の代名詞という感じがする。
まぁ、聞けば多くの作品と同じようにスライムも最弱と言っていいくらいらしいので、そこら辺は安心だけど。
『アリスちゃんのスタイルからすると逆にスライムの方が効率いいまである』
うん? なんで?
『結局石を投げて経験値入るなら多く投げれる方がお得ってわけか』
『そういうこと。ミニラビットのHPが10でスライムが15だから投石プラス5個投げれるわけ』
あ、なるほど、言われてみればそのとおりだ。
『スライムならミニラビット以上に足も遅いし安全だしね』
「そうなんだ、それじゃあ、行ってみようかな」
ちょっと不安だったけど、どうやらそんなに問題はなさそうなので近くの森に向かってみることにした。
近くの森、名称はなし。
結構な広さがある森だけど、暗さはあまりなく、むしろ木漏れ日で気持ちい感じだ。
「あっ! また木の枝発見」
森というだけあって、木の枝が沢山手に入る。
かれこれ5箇所目の採取場所になる。
枝以外にもそれ以外に石や薬草も手に入っていて割りとホクホクだ。
流石に街の周辺とは比べ物にならない採取率だなぁ。
しかし、採取だけで済むはずはなく、
ガサガサ!
「うん? 今音がした?」
音に振り返ってみると、草むらからヌルヌルと出てくる青い物体。
「これが……スライム?」
なんだろう、私でも知っている某有名RPGのスライムを想像していたんだけど、全然違うのが出てきた。
うっすら青いゼリー状の中に丸いのが透けて見えている。
目とかもないので、こちらを認識しているかどうかすら定かではない。
でも、ヌルヌルと動きながらこっちによってきているところを見ると私に攻撃しようとしているのかな?
『相変わらず遅いなぁ』
『まぁ、初心者向けモンスターですし』
『正直、HP高いだけでミニラビットの方が倒すの大変』
聞いていた通り、動きが非常に遅い。
私が一歩後ろ下がる距離をたっぷり5秒くらいかけて動いている感じだ。
確かに、これなら被害に遭うこともなさそうだなぁ。
試しに投石を投げてみる。
「えりゃっ!」
投げた投石は貫通して、地面に落ち消えた。
「これ、ダメージ行ってるのかな?」
スライムに何も反応がないので、不安になって聞いてみると、
『一応行ってるはず』
『弱点は中のコアだけど、それ以外もダメージ通るよ』
『アリスちゃんの場合は、コア狙わない方がいいね』
どうやらダメージが入っているということに安心して、投石を投げ続ける。
15個投げたところで、スライムの動きが止まった。
「おっ?」
そしてそのまま光になって消える。
後には小さいゼリー状の物体だけが残っていた。
近寄って持ってみる。
「これがモンスターが落とす素材ってやつ?」
『そうそう、それはスライムゼリーだね』
『一見食べれそうだけど、味はない』
これ食べたの!?
『なんかゼリーっぽくていけると思ったんだわ』
『あ、俺も食べたわ』
『俺も』
なんか食べた人が沢山いるらしい。
流石に、私はこれをそのまま食べる気にならないなぁ……
『一応、扱いとしては、そのまんまゼリーなんで料理の素材であるよ』
『錬金術でも料理系の素材に使えたはず』
なるほど。うん、まぁ、そのまま食べるつもりはないけど、そのうち試してみようかな。
それ以降も素材を拾って、たまに出てくるスライムを倒したりしながら森を進んだ。
「さて、そろそろ帰ろうかな」
素材がかなり手に入って満足して息を吐いた。
『確かに、そのくらいにしておいた方がいいね』
『あんまり奥まで行くと、別の魔物が出てくるしな』
えっ?
「別の魔物?」
そんなの出るの?
『奥に行くに従ってスライム以外の魔物が出る確率が高くなる』
『入り口だとほぼスライムだけだけど、奥に入るとウルフとか出てくるよ』
ウルフ、狼の魔物だ。
「えっと、それって危ないのでは?」
スライムの次がウルフとか、いきなりレベルが跳ね上がりすぎなのでは?
『ウルフと言っても、ベビーウルフだよ』
『早いだけで、攻撃力は殆どない』
『小型犬だと思っておけばいいよ』
あ、なるほど、ベビーウルフってことは、ウルフの赤ちゃんってことかな?
確かに、それだったらそれほど怖くなさそう。
安心しつつ、振り返って帰ろうとした、その瞬間、
ガサガサ!
後ろから音がした。またスライムかな?
そう思って振り返ると、草むらから出てきたのは、明らかにスライムではなかった。
『あちゃー、言ってるそばから出ちゃったか』
『ベビーウルフかわいいよな』
『なお、相手は襲いかかってくる模様』
出てきたのは、小型犬サイズの犬。
察するに、これがちょうど話していたベビーウルフらしい。
確かに、見た目すごい可愛いんだけど、なんか睨まれている感じがする。
スライムと比べると驚異に感じる。
にらめっこしたまま、数秒。
「ガァッ!」
ミニウルフが私に向かって襲いかかってきた。
素早く私に近づいて私に攻撃をしてきた。
突然のことに私は避けられず、そのまま叩かれてしまった。
「痛っ……くない?」
突然のことで思わず痛いと言ってしまったけど、痛みはない。
不思議に思っていると、
『アリスちゃん、HP減っとるで!』
『装備もないから減り方結構やばい』
『逃げた方がいい!』
視聴者さんが急かすように言う。
ステータスを見ると、私のHPのところが減っていた。
具体的な数字は出ていないからわからないけど、ゲージっぽいのが1/4くらい減っている。
『ダメージはHPが受けてくれるから痛みはないけど、HPなくなって攻撃くらったら死ぬよ』
『プレイヤーなら死に戻るけど、NPCは……』
死ぬ!?
それはまずい。
私がNPCかどうかはさておいて、このままHPがなくなったらまずそうだ!
慌てて、振り返って逃げ出す。
幸いにもベビーウルフは追いかけてくることはなく、なんとか私は街まで逃げ帰ったのだった。
アトリエに帰ってきて、今後の計画について話し合う。
予定では13日後に四天王襲来があるらしい、まるっきり時間がないのだ。
「そもそも、私一人ってかなり無謀だよね?」
『それはそう』
『敵の数1000、2000じゃ済まなかったからなぁ……』
『どう考えても一人でどうにかできる数じゃないんだよなぁ』
2000以上の魔物とか、一人じゃどうにもならない。
となると、
「どうにかして、街の冒険者とかを巻き込まないとだね」
そういえば、その辺りイベントだとどうだったんだろ?
『俺達の時は、戦場に出てきたのはアリスちゃんだけだったな』
『確かに、街にも冒険者ギルドがあるんだから、NPCの冒険者とかいるんだよなぁ』
『冒険者NPCと話したことあるから普通に活動してるっぽいぞ』
『まぁ、街の冒険者はかなり弱いみたいだが』
そうなんだ。その辺り、この世界ではどうなっているんだろ?
明日あたり、ミナリアさんに聞いてみようかな。
できれば、上の人まで話を通しておければいいんだけど、私の信用度とかそこまでないだろうしなぁ。
今の私にできることは、錬金術でひたらすらアイテムを作ることだけ。
『レベル5になれば新しいポーションが作れるようになる』
とのことなので、それができるまでひたすらレベル上げをすることに。
その後、配信時間が切れるまで、視聴者さんとお話ししつつ、ひたすら錬金術でレベル上げをしまくるのだった。
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