第7話 執事、クエストを受ける
セバスは受付嬢から依頼表に張り出されている場所を教えて貰い、依頼を確認する事にした。
様々なランクの依頼が載っており、盗賊団討伐やゴブリンの里への偵察等が張り出されていた。だが、セバスのランクでは受ける事は出来ない。
セバスは他にもあるはずと探してみると、
【Gランク用依頼】と書かれたものを見つける事が出来た。依頼内容は、
【薬草採取:ウマミ草とナオリ草をそれぞれ5本に付き銅貨10枚】と、【ヤワニクボア1頭狩ってくれたら銅貨15枚!】の2つである。
依頼を見ていると、口に花を加えた若干キザったらしい男性がセバスに近寄り、
「ふふふ……新人さんかな?ウマミ草とナオリ草の居場所は門から出たら城壁の近くや少し先に生えてるよ?ヤワニクボアはお腹周りがプルンプルンしたイノシシだね。」
と、セバスにアドバイスをくれた。
さらに、キザったらしい男性は
「ボクの名前はバラスィスだよ。迷える仔羊には優しい羊飼いがいないとね」
と言って、ギルドの外へ出て行った。
受付嬢が、
「バラスィスさん、優しいのは良いけど毎度来る度に花を散らさないで下さい!片付けるのは私やギルド長なんですよ!全くもう。」と
愚痴りながらも後片付けを始める。
「あ、そういえばセバスさんはこの世界の硬貨の値などは理解しているでしょうか?」と
受付嬢がセバスに聞くと、
「いえ。可能でしたら教えて頂けると。」と
セバスは答えたので、受付嬢は
「分かりました!硬貨は石貨、銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨、王金貨、竜金貨とあり、こちらの表が硬貨の値となります。」
と、セバスに硬貨値表を渡す。そこにはこんな風に記されていた。
石貨……主に子供等が持っている平たい石の真ん中に穴が空いている硬貨。1円と同じ
銅貨……一般的に流通されている硬貨。10円と同じ
大銅貨……一般的に流通されている硬貨。100円と同じ。
銀貨……冒険者や一部の貴族等が使っている硬貨。一般のお店でも使って問題ない。1000円と同じ。
金貨……冒険者や貴族が使っている硬貨。一般のお店では嫌がられる事もある。10000円と同じ。
大金貨……一部の冒険者や貴族、王家が使ったりする一際大きい金貨。一般のお店で使おうとすると
嫌がられると言うより畏れられる方が多いかもしれない。10万円と同じ。
白金貨……一部の冒険者や大貴族、王家が所持していると云われる希少な硬貨。小さい領地や家なら買える。100万円と同じ。
王金貨……王家のみが所持を許されている大金貨よりも更に大きい金貨。若干重い。領地や小さな国なら大体買える。1000万円と同じ。
竜金貨……一部の王家かダンジョンに眠っていると云われる伝説の金貨。表には竜の紋章が象ってあり、裏には竜の翼が描かれていると記されている。教会にレプリカが飾られている。欲しいものはほぼ手に入る。1億円と同じ。
セバスは忘れない様に手持ち鞄に硬貨の値表を丁寧にしまった。
「ご説明感謝します」と受付嬢に言うと、
「いえいえ!お役に立てたのでしたら良かったです。私は受付と登録担当をしているメルフィーです。お見知り頂くと嬉しいです」と
セバスに伝えた。
セバスは、受付嬢メルフィーに軽くお辞儀を交わした後、先程の依頼である【薬草採取:ウマミ草とナオリ草をそれぞれ5本に付き銅貨10枚】と、【ヤワニクボア1頭狩ってくれたら銅貨15枚!】 2つの依頼メモを鞄の中に入れて入場門へと向かって行く。
セバスは思った。
とにかく依頼を完遂させて、坊っちゃまに褒められて眠りたい。可能で有れば少しお暇を頂きたい、と。